ホルモン分泌に重要な甲状腺を守る食生活術~健康寿命を延ばすために~

甲状腺は、私たちの体を守る重要な「ホルモン」を分泌している臓器で、のどぼとけの下側にあり、気管を前面から側面にかけて包むように位置しています。甲状腺が正常に機能せずに、ホルモンの分泌が過剰になったり、不足したりすると、生活リズムの乱れが生じ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高まるとされています。そして、これらの病気は健康寿命にも大きな影響を及ぼします。そこで今回は、甲状腺を守り、健康寿命を延ばすための食生活術を紹介します。

まず、甲状腺の機能が亢進している人の場合。甲状腺から過剰に分泌される甲状腺ホルモンがタンパク質や脂質、糖質などの代謝を異常に促進し、エネルギーを激しく消費するため、食事で補給することが必要になります。それを補うための食欲があっても、代謝のスピードに追いつけず、体重が減ってしまうことから、栄養バランスの取れた食事を1日3食規則正しくとるようにすることが大切です。

バランスの良い食事とは、主食である炭水化物、肉・魚・大豆などのタンパク質、緑黄色野菜に含まれるビタミン・ミネラル、牛乳・乳製品に含まれるカルシウムを取ることです。また、甲状腺の病気の一つであるバセドウ病の場合、アルコール飲料や唐辛子などの刺激物を取ると交感神経が刺激され、さらに代謝を高めます。動悸が激しく、具合が悪くなることがあるので取りすぎには注意しましょう。

一方、甲状腺機能が低下している人は、新陳代謝が落ちてエネルギーをうまく消費できないため、体重が増えてしまうとのこと。厳格な摂取エネルギーの制限までは必要ないですが、摂取エネルギー量を抑えるように意識した食生活を送ることが大切です。

また、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリーなど)に含まれるゴイトロゲンという物質が甲状腺ホルモンの分泌を妨げる作用があり、治療薬(甲状腺ホルモン薬)の働きを低下させてしまう恐れがあるため、過剰に摂りすぎることがないよう気をつけてください。

なお、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を多く取って症状を改善しようとする人がいますが、甲状腺の病気である橋本病の人が過剰に取ると、身体がバランスを取ろうとして逆に甲状腺ホルモンの分泌量を抑え、甲状腺の機能がさらに低下する場合があるそうです。ヨウ素はうがい薬にも含まれているため、うがい薬の使いすぎやヨウ素を含む食品を過剰に取ることがないよう注意が必要です。また、ヨウ素を使用した検査や治療を受ける際には、ヨウ素を制限することもあるので、医師にしっかり確認してください。(監修:健康管理士一般指導員)


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