- Health&Medical2023/04/19 18:12
第一三共ヘルスケア、「健康とセルフケアの実態調査2023」を実施、20~60代の働く人が健康でいられると思う年齢は平均67.7歳に
第一三共ヘルスケアは、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が、人生100年時代の日本に重要なテーマになることを見据え、毎年、働く人を対象に「健康とセルフケアの実態調査」を行っている。今年2月3日~6日には、「健康とセルフケアの実態調査2023」を実施した。この結果、セルフケアの実践率は前年に比べて下がったが、5月には新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が5類感染症へ変更されることなどもあり、8割近くが「今後セルフケアの重要性が増す」と回答した。物価上昇を実感する中で、「セルフケア」は現状を維持したい支出の第1位となった。また、健康でいられると思う予想健康寿命は、全体平均で67.7歳だった。
「健康とセルフケアの実態調査2023」では、20~60代の働く男女を対象にセルフケア(自分自身で健康を守り対処すること)に関する調査を行った。まず、セルフケアの認知について聞くと、27.2%が「意味、内容まで知っている」、51.3%が「言葉だけは知っている、聞いたことがある」と回答し、全体の約8割(78.5%)がセルフケアという言葉を知っていることがわかった。セルフケアの対象範囲を聞くと、「からだ」が74.6%であるのに対し、「こころ」が88.1%と多くなっている。一方、「からだ」と「こころ」の両方を選択した人を集計すると、全体の約6割(63.6%)にとどまった。
次に、「セルフケアとは自分自身で健康を守り対処すること」と提示した上で、セルフケアができているか否かを聞いた。その結果、「セルフケアができている」実践率は年々低下し、今回は46.9%となり、最も低い40代では38.8%だった。セルフケアができていない理由としては「仕事が忙しい」(46.0%)が最も多く、セルフケア実践率の最も低い40代では52.6%にのぼった。
一方、セルフケアにかける金額は、1ヵ月当たり平均で5096円となり、昨年の4488円に比べて608円も高く(前年比114%)、全年代で上昇している。特に60代は7399円にのぼり、最も高い結果となった。
2020年から続いたコロナ禍だが、日常生活において緩和に向けた変化が進み、withコロナへのシフトが進んでいる。現在の生活に関して聞くと、約4割が「コロナ禍以前に比べ、自分の体調変化に敏感になった」(38.8%)と回答し、3割以上が「旅行や外出などを再開している」(34.1%)、「外食にでかけるようになった」(31.3%)と回答していた。対面での交流が徐々に回復していることがうかがえる。
セルフケアに対する考え方を聞くと、「セルフケアは共感できる考え方だ」と8割以上(83.2%)が賛同し、78.9%が「セルフケアは自分のためだけではなく、周囲や社会に良い影響を及ぼす」と回答している。また、77.3%が「今後、日本ではセルフケアの重要性が増すと思う」と回答しており、さらなるセルフケアの広がりが予想される。
セルフケアと市販薬の関係を見ると、76.6%が「セルフケアのために市販薬は役立つと思う」、60.4%が「セルフケアのために市販薬についてもっと知識を増やしていきたい」と回答しており、どちらも前年からスコアを伸ばしている。
人生100年時代を迎える中、望ましい働き方について聞いた。その結果、全体の24.8%が「年齢に関係なく健康が続く限りフルタイムで働きたい」、39.8%が「年齢に関係なく健康が続く限り働きたいが、フルタイムではなく日数や時間を限定して働きたい」と回答し、全体の64.6%が「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答している。
この結果を、「セルフケアができている/できていない」の集計に基づき分けて比較すると、「セルフケアができている」人では「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答した割合が69.7%となり、一層高いことがわかった。
次に、何歳まで働きたいか聞いたところ、全体では平均63.0歳までとなった。年代別で見ると、年代が上がるほど働きたい年齢も上がっている。20代・30代は60歳を前にリタイアしたいと考えるのに対し、定年に直面する60代はさらに長く働きたいと考えている傾向がみられる。国の取り組みとして70歳までの就業機会確保が進められているが、当事者世代の望む声とほぼ同様になっている。なお、セルフケアができている人は平均63.9歳まで働きたいと考え、セルフケアができていない人の平均62.2歳に比べ、高い結果となった。
働くことと健康やセルフケアに関する意識について聞いた。その結果、90.6%が「就労において健康がますます重要になると思う」、86.4%が「高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重要になると思う」と回答している。
厚生労働省の調査(出典:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月))によると、2019(令和元)年の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳であった。一方、健康寿命(「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指す)は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっている。そこで、健康でいられると思う年齢(予想健康寿命)を聞いたところ、実際の健康寿命に比べ、男性は約4.1歳短い68.6歳、女性は約8.9歳短い66.5歳となった。
年代別で見ると50代、60代の予想健康寿命は70歳を超えているが、若い年代ほど短く見積もっている傾向がみられる。また、セルフケア実践の有無で予想健康寿命を見ると、セルフケアができている人では69.7歳と、セルフケアができていない人の66.0歳に比べて3.7歳長いことがわかった。
新年度になって新たに始めたいことや力を入れたいことを聞いた。その結果、「趣味」(44.1%)、「学び(スキルアップ等)」(30.8%)、「運動」(29.6%)、「健康管理・健康づくり(セルフケア)」(27.5%)、「仕事」(20.7%)の順となった。コロナ禍による制限が緩和される中、これまで以上に、自分自身で健康を守り対処することが求められる。「健康管理・健康づくり(セルフケア)」が「仕事」を上回った背景に、そうした変化があるのかもしれない。
天候不良や国際紛争などの要因から、さまざまな商品やサービスにおいて値上げが続いている。そこで、1年前と比べた物価の上昇について聞くと、全体の約9割(94.6%)が「感じる」(感じる+やや感じる)と回答し、性・年代別でも大きな差はなかった。物価の上昇を感じるものは、「食料品」(94.2%)が最も高く、次いで「光熱費」(83.5%)、「日用品」(59.7%)、「外食費」(54.0%)が上位にあがった。
食費や教育費など10のジャンルに対し、「支出を抑えたい」「現状維持」「支出を増やしたい」の3択で回答してもらった。その結果、「支出を抑えたい」を選択した割合は、住宅費、光熱費、水道代、日用品などの「住まい・公共料金」(61.6%)が最も多く、次いで「外食費」(52.2%)、「衣類」(50.5%)、「通信費」(50.4%)があがった。一方、現状維持の回答は、健康維持・増進のための「セルフケア」(63.3%)が最も多く、次いで「理・美容」(59.1%)、「教育・学習」(57.4%)、「医療費」(55.0%)があがった。誰もが痛感する物価上昇だが、セルフケアや医療費など、健康にかける支出については維持する様子が見てとれる結果となった。
今回の調査結果を受けて、第一三共ヘルスケア 産業医の鄭理香(チョン・リヒャン)先生は、「調査結果を見ると、セルフケアの実践率は少しずつ低下している。新型コロナの感染拡大が始まった頃は、感染対策や健康に対する自己管理が強く叫ばれ、セルフケア意識も実践もいや応なく高まったわけだが、3年が経って意識して行っていたセルフケアが当たり前になり、定着したと考えられる」と、コロナ禍3年を経てセルフケア意識や行動が定着してきたと分析する。
「一方、コロナ禍以前と比べ自分の体調に敏感になった人もいる。コロナ禍で社会全体の健康について考えるようになり、そのためにも自分の健康管理を意識するようになり、結果、自分の体調変化にも気付きやすくなっているのだと思われる。意識が高まることで、市販薬もうまく使えるようになると良い。例えば花粉症だと、処方薬と同等の薬効を持っていたり、複数の薬効が組み合わさったりと、近年、進化の著しい目薬やアレルギー薬は有効な選択肢になりえる。もちろん、今まで経験したことのない症状では医師の診療を受けることを勧めているが、そうではない場合、市販薬をうまく使って対処すると良いだろう」と、健康管理に市販薬をうまく使うことで日常生活がよりスムーズになるとアドバイスしてくれた。
「私は産業医なので職域でセルフケア研修を行うとき、『上司がきちんとセルフケアできていないと部下に影響がある』という話をよくする。わかりやすいところでは、上司がいつもイライラしていると部下もイライラして職場全体がピリピリしている、そんな経験をした人もいるのではないだろうか。これは良いことでも同じで、例えば、上司が健康意識が高いと部署全体で健康イベントへの参加率が高い、ということがよくある。良くも悪くも、自分だけではなく全体に影響することを理解してほしい。誰かが体調を崩したとき、職場全体で協力的にサポートできる環境をつくることが重要だが、そのためにも一人ひとりが『こころもからだも』調子を整えていくことが大切になる。今回の調査でも、セルフケアができている人は健康でいられると思う年齢が高くなっていたが、セルフケアができている人は、うまくバランスを整えながら働いている人が多いと感じる。自分自身を整えることが、職場や家族といった周りを整え、ひいては社会全体の健康につながる、そういった意識を持つことが大事である」と、セルフケアは自分のためだけではなく、社会全体の健康にもつながるのだと訴えた。
「ここ10年、厚労省がメンタルケアを強化し、企業でもメンタルケア研修が増えていることから、今回の調査でもセルフケアの対象は『こころ』と答えた人が多くなっているが、『こころ』だけではなく『こころもからだも』セルフケアが大切。『からだ』が不調だと『こころ』も不調になる。両方揃うことが健康なので、セルフケアはどちらも大切になる。物価上昇が続いている中で、健康維持・増進のためのセルフケア、理美容、教育・学習、医療費は現状維持という結果が出ていたが、これらは自分への投資であり、『体が資本』という意識の表れだと考えられる。ここでの『体』は『こころとからだ』の両方が含まれるが、元気でないと何もできないということを、コロナ禍を経て誰もが再認識しているのだと思う。『健康づくりには惜しみなく』という気持ちが感じられ、とても良い傾向だと思った。5月には新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行することから、健康管理に対する主体性がますます求められるようになる。4月からの新年度・新生活は何かを始める良い機会。5月以降を見据え、また、コロナ禍での経験を生かすためにも、『こころとからだ』両方のセルフケアを意識し、習慣化するきっかけにしてほしい」と、主体的な健康管理が求められる新年度には、「こころとからだ」のセルフケア習慣を始めることを推奨していた。
第一三共ヘルスケアでは、長年製薬事業に携わってきた経験と知識を生かし、「くすりと健康の情報局」を運営している。気になる症状があればすぐスマートフォンで検索する時代に合わせ、身近な症状の原因・予防・対策や市販薬の役割などを紹介している。症状が起こったときだけではなく、日頃から症状の特徴や薬に関する知識を深めるコンテンツを用意し、情報を正確かつわかりやすく伝え、セルフケア実践の一助となるサイトを目指しているという。
また、セルフケア情報をより身近に感じ親しんでもらいたいという想いを込め、セルフケア啓発YouTubeチャンネル「ねこいちさん ~楽しく健康セルフケア~」を昨年8月から展開している。日常生活で感じる「ちょっとした不調」や放っておくと良くない「気をつけたい症状」、OTC医薬品の正しい使い方や病院を受診する目安、スキンケアやオーラルケアなどの正しい情報をわかりやすく伝えている。「ねこいちさん」では、アニメーションとしての楽しさとともに、セルフケア情報を生活者に届けるチャンネルとして、セルフケア推進に貢献していく考え。
[「健康とセルフケアの実態調査2023」調査概要]
実施時期:2月3日(金)~6日(月)
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国の20~60代の働く男女1000人
※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため100%にならない場合があり、表記した数字の合算した値と異なる場合がある
第一三共ヘルスケア=https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/
くすりと健康の情報局=https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/