- Study&Work2023/08/30 20:24
リスキファイド、AI活用のEC不正管理サービスで加盟店の収益増やコスト削減を実現するサービスを日本で本格展開
Eコマースにおける不正取引防止およびリスクインテリジェンスを提供するRiskified Ltd.(リスキファイド)は、9月20日で日本法人設立から一周年を迎える。外資系企業のほか、日本企業ではDMM.comやユナイテッドアローズなどに採用されているが、今後日本市場におけるさらなる事業拡大に向け、初のプレス向けイベントである「Riskified 事業戦略発表会」を8月29日に開催した。発表会では、事業戦略のほか、国内外の最新不正事情や、消費者調査の結果を発表した。
リスキファイド VP Sales and GM, APAC ヴァイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのタスニーン・パディアス氏が発表会に先駆けて挨拶した。「当社は2022年に日本法人を設立したが、設立以前から日本でサービスを展開している。そして、昨年の日本法人設立を機に本格的なビジネスを行っていく上で、今回、戦略発表ならびに最新の不正トレンドを紹介する」と、日本市場での本格的なサービスを展開するために、戦略などについて説明すると述べた。
サービスおよび事業戦略について、同 パートナーシップリード 河合秀樹氏が発表した。「当社のグローバルチームの約50%はR&Dに所属しており、判定対応国は186に及ぶ。2018年から2020年までのCAGR成長率は50%に達した。2022年度中のオンライン流通取引総額(GMV)は約14兆円とされる中、2022年リスキファイド実装事業者の利用継続率は98%と高い水準となっている」と、会社概要について説明する。「当社は2012年にイスラエルで創業。2016年にはニューヨーク証券取引所に上場した。これを機に急成長を遂げて、2022年に東京オフィスを開設した」と、右肩上がりで事業を拡大していると力説する。
「日本クレジット協会は2022年、クレジットカードの不正利用総額が過去最高の436億円に上り、1997年の統計開始以降、過去最悪を記録したことを発表した。カード番号の盗用が主な原因になっており、フィッシング対策協議会によると、カード番号を盗むフィッシングサイトURL数は過去3年で約6倍の約30万件に急増している」と、クレジットの不正利用額は年々増加しているとのこと。「家電や旅行商品、デジタルコンテンツなどの高価格帯商材だけではなく、健康食品やコスメなどの低価格商材も狙われ、今や業界に関わらず不正被害に遭う可能性があるといえる。これまで比較的不正が少なく、欧米国と比べクレジットカードの不正対策が遅れている日本では、近年海外の犯罪組織からもターゲットにされるケースも多いといわれている」と、対策が遅れているといわれているだけに、不正被害は今後も増えていくとみられる。「日本のE-コマースのクレジット決済額は約16兆円とされており、ファッションやトラベル、チケット、電化製品、デリバリー、デジタルギフト、高級品などが取引されており、今後も様々な業界へ拡大していくと思われる」と、E-コマース市場はさらに拡大していくと予測する。
「E-コマース業界では、誤検知などによる売上損失や不正チャージバックコスト、ポリシー濫用、チェック作業負担、与信率、アカウント乗っ取りといった課題が近年浮き彫りとなってきている」と、様々な問題が多発しているのだと指摘する。「当社では、承認注文を増やしたり、チャージバック保証を行っている。また、ポリシー保護や運用負荷の軽減、収益の拡大、アカウント保護も行っている」と、EC事業者のビジネス成長をフリクションなくサポートしていると強調する。「当社の製品は、信頼性を高め、リスクを防止したり、不正を防止し、収益を増やす。また、CXの最適化と与信率の向上も図る。さらに、優良顧客との関係性を高めるだけでなく、チャージバック業務の自動化も実現する」と、EC事業者の優先課題に対応しているのだと説明した。
「当社の製品はルールベース製品とは異なり、自己最適化するAI機械学習モデルを開発し、利用者による調整やメンテナンスは不要となっている。そして、異常検出技術を使用して不正をリアルタイムで特定。専門家が24時間体制で不正の傾向を研究し、能動的な対策を講じている。また、すべての承認取引に対して責任を持ち、完全なチャージバック保証を提供。異議申し立て業務を軽減する。さらに、当社は承認した注文のみに料金を請求し、チャージバックの保証をする。EC事業者の収益アップを支援する」と、メンテナンスに優れ、能動的なシステムでありながら、判定結果の責任や価格モデルの面においても優位なサービスを提供できると訴える。「今後については、不正対策には、多面的重層的な不正対策モデルの導入が重要と考える。3Dセキュアがカバーしきれない範囲の詐欺防止を提供し、様々な業界のEC事業者への不正利用の防止、検出サービスを提供する。また、欧米市場のみならず、日本市場においても、ポリシー濫用は、EC事業者の課題となり始めている。EC事業者の再販業者による優良顧客への影響懸念、プロモーション濫用、返品コストなどの課題解決のため、日本市場での営業を強化する。そして、MasterCardとのパートナーシップによって、チャージバックのリアルタイムアラート、チャージバック申請・解決業務の自動化の日本市場への展開も図っていく」と、今後の具体的な事業戦略について教えてくれた。
同 アカウント・エグゼクティブ ナボン恵子氏が日本の消費者のネットショッピングに関する意識調査の結果および業界トレンドについて発表した。「日本クレジット協会の最新の調査によると、2022年のクレジットカードの不正利用総額は436億円にのぼり、1997年の統計開始以降、過去最悪を記録した。また、フィッシング対策協議会によると、カードの不正利用の主な要因となる、カード番号の盗用を試みるフィッシングサイトURL数は、過去3年で約6倍の約30万件に急増した。ブラックフライデーやクリスマスなど、セールイベントの多い季節には平常時よりもECサイトの利用が増え、クレジットカードの不正利用をはじめとする不正注文もさらに増えると考えられるため、事業者は事前に適切な不正対策をする必要がある。こうした状況を踏まえ、当社は、日本の消費者のネットショッピングの利用意欲や安全性の意識、ネットショッピングにおけるインサイトについて、独自に調査を実施した」と、調査の背景について語る。「調査は7月に実施し、2週間に1回以上の頻度でネットショッピングをする消費者(男女20~59歳)を対象とした。有効回答数は647件で、ネット方式によるアンケート調査で行った」と調査概要について教えてくれた。
「まず、ネットショッピングで最もよく使う決済方法ではクレジットカードが約70%に達した。また、昨今の物価上昇を受けて、買い物全体(実際の店舗・ネット)のうち、ネットショッピングの割合に変化があったかの問いでは、『ネットショッピングの割合が増えた/今後割合を増やす予定』が18.4%、『ネットショッピングの割合がどちらかといえば増えた』が30.1%に達した。ネットショッピングの割合が増えた/増やす予定である理由では、『よりニーズにあった商品が見つかるから』が56.7%、『実店舗よりも安い価格で販売されているから』が54.8%となった」と、ネットショッピングについてさらに利用を増やす意見が多く見られたという。
「ネットショッピングで決済がうまくできなかったとき、どのような行動をとるかでは、『他の決済方法に変える』が38.8%、『他のサイトで買う』が36.9%に達した。初めて不正被害にあってから、ネットショッピングの頻度は変わったかでは、『不正被害にあったサイトでは買い物をしなくなった』が26.6%、『不正被害にあったサイトでは、買い物をできるだけ控えるようになった』が40.7%となった」と、かご落ちのリスクが明らかになっただけでなく、不正被害にあうと機会ロスが発生することも明らかとなった。
「今後ECサイトに期待することについては、『安心安全に買い物をしたい』が63.4%と圧倒的な回答数となった」と、不正被害にあうことなく買い物がしたい消費者の心理をうかがうことができた。
調査の結果を受けて、「オンラインショップ運営事業者の課題は、決済不正からポリシー濫用被害へ拡大しているといえる。返品処理にかかる費用の割合は26.5%とされ、事業者の大きな負担になっている。当社では、不正な注文か、そうではないかをAIを駆使して行っている。どの端末から注文されたのか、E-mailアドレスはいつつくられたものか、といったことを判断できるようになっている」と、これまでに蓄えられたデータから不正な注文を検知するという。「海外の不正で増えているのが、販売ポリシー違反の注文で、複数アカウントで商品を購入し、転売ヤーとしてオークションサイトなどを通じて販売するといったものや、初回利用は10%オフになるプロモーションを複数のメールアドレスを利用して何度も使うといったケースもある。さらには、すべてのカラーを注文し、あるカラー以外はすべて返品する者もいる」と、度を越えたポリシー違反が増えているという。「当社では、こうした不正を未然に防ぐことで、業界全体の健全化に努めていきたいと考えている」と、E-コマースの成長に比例して増える不正被害を防止するべく、業界全体で健全化に向けた取り組みが必要であると訴えた。
リスキファイド=https://pages.riskified.com/jp/
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