満腹感・空腹感はどこでつくられる? 脳が栄養状態を把握して食欲をコントロール

私たちは毎日欠かさず、空腹感と満腹感を感じ、食事をとっています。これは、過不足なく栄養素をとるためになくてはならない信号とのこと。空腹感は、必要な栄養素をとらせるための信号であり、満腹感は必要な栄養素をとったという合図、つまり食べる行動を止めるための信号です。では、この空腹感・満腹感は、どこでつくられているのでしょうか。

空腹感・満腹感という感覚がつくられている場所は、「脳」にあるとのこと。脳の大部分を占めている大脳の下に視床下部という場所があります。この視床下部に、空腹感を生み出す神経細胞が集まった摂食中枢があるそうです。摂食中枢の神経細胞は、食べることが必要な状態になると、脳内のさまざまな場所に信号を送り、食欲を増進させて、噛む、飲み込む、唾液を出す、消化・吸収するといった、食べることにかかわる無意識な動きを促します。一方、満腹中枢の神経細胞は、十分に栄養が満ち足りた状態になると、食べたい気持ちや、食べる行動を抑えています。

つまり、脳にあるこれらの神経細胞が、体内の栄養状態を把握して、食欲をコントロールしているのです。脳が栄養状態を把握するために重要な役割を果たすのが血中の栄養素です。私たちは食事をとると、糖質が小腸で分解されてブドウ糖になり、血液中に吸収されます。そして、ブドウ糖の量が増えてくると、血液中のブドウ糖の量を減らすインスリンというホルモンが膵臓から放出されます。ブドウ糖とインスリンは血液の流れに乗って、脳に行き、満腹中枢の神経細胞の働きを活発にして、摂食中枢の働きを抑えます。活発になった満腹中枢の神経細胞は、食べることを抑えるように、脳や体の各部分に信号を送るのです。

食事から時間が経過すると、エネルギーのもとになる血液中のブドウ糖の量が少なくなるため、摂食中枢の神経細胞の働きが活発になって、体内に「溜め込んでいた貯金」を切り崩すようになります。皮膚の下の組織に溜め込まれた、皮下脂肪(中性脂肪)などの脂質が分解され、エネルギーがつくられます。同じく中性脂肪の部品であった脂肪酸は、血液中を流れて脳の摂食中枢の神経細胞の働きを促し、さらに満腹中枢の働きを抑えます。こうして再び食欲がわくようになるとのこと。

もう一つ、胃の働きも食欲に影響を与えているそうです。食べ物が入って膨らんだ胃の情報が、神経細胞の信号を介して満腹中枢に伝わり、満腹中枢の働きを促します。肥満の患者が減量のために胃の一部を切除する手術は、少量の食べ物が胃に入っただけでも胃が膨らみ、その情報が満腹中枢に伝わって摂食を止めることを目的としています。(監修:健康管理士一般指導員)


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