美味しさを感じる「五味」の役割とは? 甘味・うま味・塩味・酸味・苦味が与える体へのシグナル

私たちが食べ物を食べたときに感じる味には、5つの基本的な種類があります。それは、甘味、うま味、塩味、酸味、苦味です。これらの「五味」は、食べ物の美味しさを感じるために欠かせない味覚ですが、それだけでなく、体にさまざまなシグナルを与える重要な役割を担っているそうです。

まず、甘味の役割から見ていきましょう。甘味を感じているときは、体に必要なエネルギー源を摂取しているというシグナルを送っていると体は解釈するとのこと。体にとって重要なエネルギー源となる食べ物は糖質です。そして、直接エネルギーとなるものはブドウ糖(グルコース)であり、これが血液中に入ると血糖となります。エネルギー源は常に体が必要としているため、体はこのような物質を味わったときは、美味しいという快感を生じることによって摂取を促進するそうです。

こうした仕組みは、もともと遺伝子情報に組み込まれているので、生まれてすぐの赤ちゃんの口に砂糖溶液を入れるとにこやかな表情と共にそれを摂取しようとすることも知られています。ただし、私たちが甘味を感じるものが、必ずしもエネルギー源になるものとは限りません。例えば、人工甘味料として利用される「アスパルテーム」は砂糖の約200倍の甘さを感じるといわれていますが、ほとんど消化することができないため、エネルギー源にはなりません。

うま味は、主にアミノ酸であるグルタミン酸やアスパラギン酸、核酸を構成する物質であるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸などの分子を検出します。これらの分子は肉や魚のタンパク質に多く含まれているため、うま味を感じることでタンパク質を摂取しているという情報を脳へ伝えます。また、うま味の感覚によって、生体活動に必要なタンパク質と糖質を識別しているといわれています。

塩味は、ナトリウムイオンを感知することで感じられます。私たちの体は一定量のミネラルを必要とするので、食べた物の中に適度な濃度の塩分を含むかどうかを感知しているのです。また、体液の塩分濃度に等しい1%前後の食べ物は、強い快感を感じるといわれています。

酸味は、本来私たちにとって有害な分子を検出し、警告する役割を担う感覚です。この酸味は、水素イオンを感知することで感じられるそうです。食品が微生物によって分解され、その過程で酸の分子が作られることによって酸味が生じるとされています。

苦味も酸味と同様に、有害な分子を検出し、体にとって毒物であるという警告をする役割を担う感覚です。自然界には、植物に含まれるアルカロイド類などの苦味のあるものが多く、猛毒として知られるストリキニーネなどがあります。苦味を感じる細胞は、それらの物質に含まれる毒分子の検出を一手に引き受け、どの分子を検出したときも「苦い」というシグナルを脳へ送ります。

しかし、人類は味覚によって危険な食べ物を感知しながら、こうした経験と知識によって毒物を避けるように進化してきました。そして現在では、警告信号である苦味を味覚の一つとして楽しめるまでになっています。その例として、コーヒーに含まれるカフェインやお茶に含まれるカテキンなどさまざまな苦味成分を美味しいと感じ、体に取り入れています。(監修:健康管理士一般指導員)


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