日本がん・生殖医療学会、乳がん・子宮頸がん検診促進へ藤本美貴さんが応援アンバサダーに就任、検診を受ける大切さをアピール

乳がん・子宮頸がん検診促進の応援アンバサダーに就任した藤本美貴さん

日本がん・生殖医療学会は、毎年10月の“ピンクリボン月間”に合わせ、乳がん・子宮頸がんについての理解・啓発および乳がん・子宮頸がん検診を推進するため、10月17日に「乳がん・子宮頸がん検診促進のためのメディア向け発表会」を開催した。イベントでは、乳がん・子宮頸がんの国内での実態や医療技術について説明したほか、応援アンバサダーに就任したタレントの藤本美貴さんをゲストに迎え、乳がん・子宮頸がんの実態を学ぶ「検診クイズ」に挑戦してもらった。

日本がん・生殖医療学会の梶山広明理事

「がんは、年齢が上がるほどかかりやすくなるというイメージもあるが、若い世代でもかかる人が多いのが乳がん・子宮頸がんである。私も大学病院で、若いがん患者を診療することがあるが、『まさか。なぜ、私が』と、ほとんどの人が驚いている」と、日本がん・生殖医療学会の梶山広明理事が挨拶。「一方で、乳がん・子宮頸がんは、早期発見や予防することができるという特徴があり、このことを若い人たちに広く知らしめていく必要があると考えている。今回のイベントを通じて、乳がん・子宮頸がんへの理解を深めてもらい、早期発見をすれば乗り越えられるというメッセージを若い世代に伝えていきたい」と、イベントを開催する趣旨を述べた。

大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 講師の上田豊先生

続いて、大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 講師の上田豊先生が、子宮頸がんについてのプレゼンテーションを行った。「子宮頸がんは、HPVというウイルスの感染がきっかけで、子宮頸部に発症するがんである。感染してすぐにがんになるのではなく、前がん病変を経て、長い年月をかけてがんに変異する。子宮頸がんの罹患率は1975年から減少傾向にあるが、先進国では日本だけ2000年頃から増加に転じている。特に2010年以降は、20~40代の若年層の患者が増加している」と、子宮頸がんの現状を説明。「子宮頸がんの標準的治療法としては、早期の段階から子宮全摘出や放射線療法が行われ、妊娠ができなくなってしまう。最近では、医療の進歩によって、ごく一部の患者には、妊孕性温存療法が適用できるようになってきた」と、子宮頸がんは早期発見でも妊孕性を保つことが難しいのだと解説した。

「子宮頸がんを予防するためには、子宮頸がん検診を受けることが大切となる。がんになる前の前がん病変の段階で発見し、治療を行うことで、子宮頸がんの発症を防ぐことができる。日本では、20歳以上の人を対象に、2年に1度の検診が推奨されているが、受診率は43.7%(2019年)にとどまっている」と、海外に比べて、日本の検診受診率は非常に低いのが実状であると指摘する。「また、子宮頸がんの予防には、HPVワクチンを接種することも重要になる。スウェーデンの報告では、16歳以下でワクチンを接種した人には、ほとんど子宮頸がんが発症することがなく、高い予防効果が示された。しかし日本では、ワクチン接種後の多様な症状が懸念され、なかなか接種が進まなかった。現在は、ワクチン接種と各症状の因果関係は証明されておらず、万が一、症状が起こっても万全なサポート体制が構築されているので安心してほしい」と、子宮頸がん検診とともに、HPVワクチンを接種することの重要性を訴えた。

聖路加国際大学 聖路加国際病院 腫瘍内科 副医長の北野敦子先生

次に、聖路加国際大学 聖路加国際病院 腫瘍内科 副医長の北野敦子先生が、乳がんについてのプレゼンテーションを行った。「乳がんは、女性における部位別がん罹患数で第1位であり、死亡数は大腸、肺、膵臓についで第4位となっている。年間で約9万人が罹患するといわれており、発症のピークは60歳前後と40歳代後半の二峰性があるとされている。乳がんは、検診などで早期発見できれば多くの場合、治すことが可能となっている」と、乳がんは早期発見が大切であると強調する。「そこで現在、乳がん領域では、乳房への意識を高める生活習慣として『ブレストアウェアネス』を推進している。自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活することで、乳がんの早期発見につなげることができる。『ブレストアウェアネス』では、自分の乳房の状態を知り、変化に気をつけ、変化に気づいたらすぐに医師に相談すること。そして、40歳になったら2年に1回は乳がん検診を受けることを呼びかけている」と、「ブレストアウェアネス」の取り組みについて紹介した。

「乳房の状態をチェックして、しこりの自覚、乳頭からの分泌物、乳頭や乳輪のただれ、乳房の皮膚のへこみや引きつれ、乳房の痛みに気づいたら、乳腺外科や乳腺科に相談してほしい。乳腺外科が併設されていない婦人科やレディースクリニックでは診療が難しい場合がある」とのこと。「万が一、乳がんが見つかっても、手術や放射線療法、薬物治療などさまざまな治療法があり、治療後も豊かに暮らせるようになっているので、あまり落胆しないでほしい。また、乳がんに限らず、がんが見つかった際には、ぜひ『がん相談支援センター』を活用して、がんに関する悩み事などを相談してほしい」と、早期発見から治療のポイントについてアドバイスしてくれた。

日本がん・生殖医療学会の梶山広明理事(左)から応援アンバサダー就任のパネルを贈られる藤本美貴さん

ここで、特別ゲストとしてタレントの藤本美貴さんが登場し、応援アンバサダーの就任式が行われた。藤本さんは、「自分の安心のためにも、毎年、人間ドックの際に乳がん・子宮頸がん検診を受診するようにしている。今回、応援アンバサダーに就任したことで、まずは身近な人たちに、乳がん・子宮頸がん検診を受診するよう、積極的に声掛けをしていきたい」と、応援アンバサダーとしての抱負を語った。

応援アンバサダーに就任した藤本美貴さん

応援アンバサダーに就任した藤本さんには、早速、乳がん・子宮頸がんの実態を学んでもらうべく「検診クイズ」に挑戦してもらった。まず、「乳がんは、日本人女性のおよそ100人に1人がかかると言われている」との問いに、藤本さんは「〇」と回答したが、正解は「×」だった。聖路加国際大学 聖路加国際病院の北野先生は、「乳がんになる人は年々増えており、現在は約10人に1人はかかると言われている。その要因としては、食べ物の欧米化や出産・授乳をする女性が減ってきていることが影響していると考えられている」と解説してくれた。次の問題「乳がん検診は40歳になったら2年に1回の検診を推奨している」には、自信をもって「〇」と回答し、見事正解していた。

「検診クイズ」の様子
左から:大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 講師の上田豊先生、聖路加国際大学 聖路加国際病院 腫瘍内科 副医長の北野敦子先生、藤本美貴さん

そして、続く問題「子宮頸がんは、早期発見であれば多くの場合、子宮全摘出まではしなくてよい」、「子宮頸がん検診は40歳になったら2年に1回の検診を推奨している」には、連続して不正解となってしまった藤本さん。すると、大阪大学大学院の上田先生は、「多くの人が誤解しているのだが、子宮頸がんは早期発見であっても子宮を摘出しなければならない。しかし、前がん病変の段階で発見できれば治療することができる。そのためにも、20歳になったら2年に1回、子宮頸がん検診を受診してほしい」と解説。これに藤本さんは、「とても勉強になった。今回学んだことを、将来、自分の子どもにも教えて、検診を受けるよう後押ししていきたい」と、親から子どもに検診の大切さを伝えていくことも重要なのではないかと話していた。

左から:大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 講師の上田豊先生、日本がん・生殖医療学会の梶山広明理事、応援アンバサダーの藤本美貴さん、聖路加国際大学 聖路加国際病院 腫瘍内科 副医長の北野敦子先生

健康維持のために普段から取り組んでいることを藤本さんに聞いてみると、「よく食べて、ちゃんと寝て、夫と一緒にウォーキングもするようにしている。ウォーキングの最後には、二人でいつまでも健康でいたいねと話している」と、夫婦で健康意識の高い生活を送っていると教えてくれた。最後に藤本さんは、「後悔しないよう、検診に行ってほしい。検診を受けて何もないのが一番だが、もしがんが見つかっても早期発見ができれば、それでよかったと思える。がんになってから、検診に行けばよかったと思うのが一番ツラいので、これからも多くの人に検診に行くことを推奨していきたい」と、乳がん・子宮頸がん検診を受ける人が一人でも増えることを願っていた。

日本がん・生殖医療学会=https://www.j-sfp.org/


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