富士経済、外食の国内市場調査、2024年の外食産業の国内市場は2023年比4.7%増の34兆3916億円の見込

総合マーケティングビジネスの富士経済は、イートインやディナーの客数が回復に向かうほか、コスト高騰を背景に価格を改定しながらも高付加価値メニューの提供やインバウンド需要によって好調な外食の国内市場を調査した。その結果を「外食産業マーケティング便覧2024総市場分析編」にまとめた。トピックスとして、ディナーの客数が回復に向かうほか、インバウンド需要によって市場拡大し、2024年の外食産業の国内市場は2023年比4.7%増の34兆3916億円の見込みであることがわかった。

この調査では、13カテゴリー120業態の国内外食市場を総括し、時間帯や客単価、食材別の動向、テイクアウトやデリバリーなど提供形態動向、外食産業エリア動向など、総合的に分析した。

2023年は、新型コロナウイルス感染症の5類移行によって人流が戻ったことから、市場は回復に向かった。また、食材や人件費、物流費などコスト高騰による価格改定や高単価、高付加価値メニューの展開に伴って客単価が上昇したため、市場は前年比9.1%増となった。コロナ禍でも好調だったファストフードやホームデリバリー、また、ファミレス、レジャー施設、料飲店などの伸びが市場拡大につながった。

2024年も、市場は順調に拡大するとみられる。フェアメニューの展開の強化などでファストフードなどの伸長が予想されるほか、国内旅行者やインバウンドの増加によって交通機関やレジャー施設、宿泊宴会場が伸びているため、市場は前年比4.7%増の34兆3916億円が見込まれる。モーニング、ランチ、ディナーなどの各時間帯で需要が回復しているが、新型コロナの影響で変化した生活様式を背景に深夜帯は苦戦が続いている。

揚げ物料理店は、串カツ・串揚げ専門店、チキン、唐揚げ、とんかつ専門店、てんぷら専門店、とんかつ・かつ丼(ファストフード)、天ぷら・天丼(ファストフード)を主力メニューとする飲食店を対象とする。専門店とファストフードに大きく分けられる。2023年は、国内外の観光客が増加し、テーブルやカウンターで料理を提供するとんかつ専門店やてんぷら専門店などが大幅に伸長した。アルコールの提供を伴う食事が主体の串カツ・串揚げ専門店も好調であったことから、市場は拡大した。一方、コロナ禍にテイクアウト・デリバリー需要を受けて好調であった唐揚げは、前年から需要が急速に落ち込んだほか、競合激化によって苦戦した。接待や会食の再開、インバウンド需要の増加によってイートインが多い専門店が高い伸びを維持することから、2024年も市場拡大が予想される。また、揚げ物を展開するファストフードは専門店と比較し低価格帯での提供を行っているため、価格改定により客数の減少が懸念されるが、上位チェーンが積極的な対策を講じるとみられ、引き続き伸びると予想される。

ファストフードどんぶり店は、牛丼、とんかつ・かつ丼、天丼・天ぷら、スタミナ丼を主力メニューとするファストフード店を対象とする。単身男性を中心とする日常使いが多い。牛丼が8割を占めるほか、とんかつ・かつ丼も上位チェーンによる店舗数増加や価格改定による客単価の上昇で好調である。2023年は、多くの店舗が価格改定を実施したが、コストパフォーマンスの高さや提供速度の速さ、テイクアウトやデリバリーと相性が良いことから客数を維持し、客単価の上昇によって市場は拡大した。ドライブスルー需要を取り込むため郊外ロードサイドへの出店を進めるチェーンが多く、今後も店舗数は増えるとみられる。また、ユーザー層を広げるため、メニューラインアップの拡充やキャラクターなどとコラボを実施する動きも活発になっている。中長期的にも堅調な市場拡大が予想される。

イートインは、新型コロナ流行による外出制限などにより、2020年、2021年に市場は大きく落ち込んだ。特に、2021年の市場は8兆1241億円となり、一時的であるがテイクアウトを下回ったが、2022年以降は回復に向かっている。

2023年は、新型コロナの5類移行に伴って外出機会増加や外食への抵抗感の軽減がみられた。観光需要も急激に回復に向かったため、前年比13.9%増となった。また、食材などのコスト高騰による価格改定も市場拡大につながった。特に、居酒屋・炉端焼き、カフェバー・ショットバー、すし専門店の需要回復が進んだ。

2024年も、各業態で価格改定が行われているが、客数の増加によって、引き続き市場拡大が予想される。ただし、大人数での宴会需要は依然として回復が鈍いほか、人手不足による深夜営業店舗の減少や経営難による撤退といった動きもみられる。

ファストフードは、2023年に入り、人流の回復に加えて他業態からの需要流入もみられ、イートインが急速に伸びた。2024年は、テイクアウト・デリバリーへの施策が積極的に行われる一方、人流の回復を受けてイートインは引き続き伸びるとみられる。

料飲店は、コロナ禍でディナーのイートイン需要が大きく減少した。それに対応するためテイクアウトを実施する動きがみられたが、2020年から2022年は大きく落ち込んだ。2023年以降は、来店者が回復に向かっているほか、テイクアウト要員の人手不足や作業負担などを背景に、再びイートインへの注力を高めており、2024年のイートイン市場は前年比6.9%増の3兆6982億円が見込まれる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]4月~5月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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