医学の進歩に貢献した微生物とは? ボツリヌス菌とアオカビがもたらす美と健康

微生物は、普段は目に見えないので、私たちはその働きの重大さを忘れがちですが、ヨーグルトや納豆などの美味しい食べ物をつくったり、汚れた環境をきれいにするなど、微生物はさまざまな場所で活躍しています。そして、私たちの身体にも常在菌として微生物が共存しているのです。今回は、医学の進歩に貢献した微生物として、ボツリヌス菌とアオカビにフォーカスを当ててみたいと思います。

ボツリヌス菌は、嫌気性の細菌で土壌や動物の腸管、はちみつなどに生息しています。その特徴は、世界最強ともいわれる毒素をつくりだすことにあり、わずか1gで100万人の命を奪う力があるとされています。この毒素が体内に入ると、ボツリヌス中毒となり、神経機能を阻害し、筋肉が麻痺して軽いものでも脱力感や息苦しさ、重症化すると呼吸筋麻痺を起こして死に至るリスクもあります。

そんな恐ろしいボツリヌス菌ですが、筋肉を麻痺させる毒素の性質を活かし、ボツリヌス毒素を弱めた薬が「ボトックス注射」として美容医療に利用されています。これを特定の部位に注射することで、目じりや眉間、おでこなどのシワの改善や、食いしばったときに出っ張る咬筋を弱め、エラを縮小させることで小顔効果にも期待できるとのこと。また、ボツリヌス毒素は、美容医療の他にも脳梗塞の後遺症として起こる手足の筋肉のツッパリ、瞼や口元のけいれんなどの治療にも利用されています。

アオカビは、ゴルゴンゾーラチーズの青いマーブル模様でお馴染みのカビです。その見た目から日本ではアオカビと呼ばれていますが、正式名称はペニシリウムと呼ばれています。世界初の抗生物質であるペニシリンは、その名の通りアオカビから生成された物質です。

英国の細菌学者であるフレミングが、黄色ブドウ球菌の研究中に偶然培養皿に繁殖したアオカビの周りにだけ、黄色ブドウ球菌がいないことに気づき研究を始めたそうです。その結果、アオカビは黄色ブドウ球菌だけでなく、肺炎球菌などに対しても増殖を抑える作用があることが発見されました。ここから様々なペニシリン系抗生物質が開発され、多くの命が感染症から守られたのです。(監修:健康管理士一般指導員)


ヘッドライン

連載中コラム

健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!
マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー
健康管理!教えて!!
【連載】健康管理!教えて!!

マイライフストーリー ~新商品で日常を語る物語~
【連載】マイライフストーリー

 

カテゴリ