富士経済、各種ECサイトを経由して流通する市販薬市場(市販薬EC市場)の調査、国内の市販薬EC市場は1126億円

総合マーケティングビジネスの富士経済は、国内では初の試みとなる、各種ECサイトを経由して流通する市販薬市場(市販薬EC市場)の調査を実施した。その結果を「全面解禁により注目が集まるOTC医薬品ECチャネルの全容 2024」にまとめた。2029年予測(2023年比)では、実店舗で購入しづらい製品、購入の緊急性が低い製品、持ち運び難い製品など、ECチャネルからの購入は着実に増加し、国内の市販薬EC市場は1126億円(24.6%増)に達する見込み。注目市場として、実店舗購入への抵抗感、まとめ買いニーズもあることから今後も伸長する発毛剤EC市場は144億円(30.9%増)と予測する。

この調査では、市販薬EC市場を、品目区分別、ECチャネル別に把握し、今後の動向を明らかにした。

市販薬は2014年6月12日の改正薬事法の施行によって、一部を除きネット販売が可能となった。参入メーカーのECサイトや仮想ショッピングモール、ドラッグストア・調剤薬局ECサイトなどで販売が広がり、特に仮想ショッピングモールでの伸長によって市場は拡大した。

医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品については対面販売義務が残っていたが、昨年に厚生労働省が薬剤師のビデオ通話による服薬指導を条件に来年以降ネット販売を解禁する見通しを明らかにしたことで、市販薬のネット販売は全面解禁に向かっている。

2023年の市販薬EC市場は904億円、国内の市販薬全体市場における比率(EC比率)は6.9%となった。ECチャネルからの購入は徐々に増えており、EC比率も着実に伸びている。発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤が市場拡大をけん引している。発毛剤は実店舗より気軽に買えることからEC適性が高く、ビタミン剤は購入の緊急性が低く、特に、ひざの痛みや関節痛に効くビタミンB1主薬製剤はリピート購入があるためECとの親和性が高い。ドリンク剤は購入量によっては重くかさばるためEC利用も多い。ECチャネル別では仮想ショッピングモールが市場の7割弱を占める。2割強を占める参入メーカーのECサイトはブランド指名買いによる安定した売上を確保している。ドラッグストア・調剤薬局ECサイトはチェーンによって注力度に温度差がある。

2029年の市場は2023年比24.6%増が予測される。EC比率も1.2ポイント上昇する。発毛剤やビタミン剤、ドリンク剤に加え、実店舗で購入しづらい製品、購入の緊急性が低い製品、持ち運びにくい製品、まとめ買いに向いた製品、大容量帯が好まれる製品など、また、実店舗の棚に入りにくいニッチな製品もECサイトでは検索により見つけ出すことができることから今後もECシフトが予想される。2025年以降には要指導医薬品のネット販売解禁が予定されていることも市場へのプラス要因になるとみられる。

発毛剤EC市場は、発毛促進、育毛、脱毛の予防、ふけ・かゆみの防止、また、壮年性脱毛症や円形脱毛症、薄毛等における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防などの効果・効能をもつ市販薬を対象とする。ECチャネルでの展開をメインとするアンファーの「スカルプD メディカルミノキ5」や、実店舗でも同様に展開する大正製薬の「リアップ」シリーズなどがある。

2023年の市場は110億円となった。実店舗での購入は人の目が気になったり、抵抗感を感じたりする利用者が多いため、EC比率は32.2%と高い。毛髪が成長するまで時間を要することから、複数本のまとめ買いニーズに対応した展開(セット販売)や、実店舗や競合製品に対して価格面で優位性を打ち出す展開なども行われている。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]5月~6月
[小売価格]
PDF版:33万円
ネットワークパッケージ版:49万5000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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