炭水化物抜きダイエットにはリスクが潜んでいる? 糖質不足がもたらす体へのさまざまな影響

近年、炭水化物の摂取量を減らす「炭水化物抜きダイエット」が話題になっています。炭水化物抜きダイエットは、糖質が制限されるため、中性脂肪が分解されやすくなり、体内に蓄積した脂肪が燃焼され、肥満解消につながるとされています。しかし、炭水化物抜きダイエットは、方法を間違えると健康に影響をおよぼすリスクがあるそうです。では、炭水化物を抜くことで、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。

炭水化物とは、主に生命を維持するエネルギー源として利用される重要な栄養素であり、炭水化物に多く含まれる糖質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します。特に「脳」と「筋肉」にとっては、糖質は不可欠な栄養素のため、極端な制限をすると脳や筋肉に負担がかかります。脳は糖質が不足してしまうと、活動が鈍くなり思考能力・判断能力の低下や、イライラするなどの症状が出ることがあります。また、脳はエネルギーが不足すると、体が飢餓状態になったと判断し、わずかな食事でも脂肪を蓄えようと働き、脂肪を溜め込みやすい体質に変わってしまう可能性もあります。

炭水化物には、整腸作用のある食物繊維が含まれており、炭水化物を抜くことで腸内環境が乱れ、便秘などの原因になります。さらに、炭水化物を抜いた分のエネルギーをタンパク質や脂質で補う必要がありますが、タンパク質の過剰摂取は代謝を担う肝臓や腎臓に負担がかかり、肉類や乳製品の過剰摂取は飽和脂肪酸を増やす原因となります。その結果、脂質異常症や心疾患などの生活習慣病のリスクを高める原因となってしまいます。

糖質不足は筋肉にも影響をおよぼします。筋肉は常に分解と合成を繰り返しており、エネルギーが不足すると、自らを分解します。そこで生じたアミノ酸である「アラニン」は肝臓に運ばれ、糖新生によってグルコースに変換され、全身のエネルギー源になります。その後、タンパク質の補給を行わないと、急速なタンパク質の崩壊が発生してしまい、筋肉の分解を促進させてしまいます。筋肉量が減少すると、代謝が落ち痩せにくい体になってしまうため、注意が必要です。

さらに、長期間にわたって糖質が不足すると生命維持のため、脂肪を分解し糖新生によってエネルギー源に変換させます。脂肪をグリセロールと脂肪酸に分解し、グリセロールは糖新生によってグルコースに変換され全身のエネルギー源になります。この時、体内の酸化反応による代謝産物としてケトン体が生成されます。ケトン体は、脳のエネルギー源となりますが、体内に増加すると血液中が酸性へ傾き、腹痛や吐き気、意識障害などの症状を呈し、生命に関わることもあるといわれています。そのため、炭水化物抜きダイエットをする際には、炭水化物を極端に減らすのではなく、適度な運動と規則正しい食生活をもとに、最小限の炭水化物を摂取して、ゆっくり行うように心がけてください。(監修:健康管理士一般指導員)


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