矢野経済研究所、介護食・高齢者食・病者食の市場に関する調査、市場規模は今後も堅調に拡大の見通し

矢野経済研究所は、国内の介護食、高齢者食、病者食の加工食品市場、調理品(病院や施設の給食、弁当等の配食サービス)市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、調理や配膳オペレーションの省力化を目的に、加工食品や完調品が市場の追い風になり、介護食、高齢者食の市場規模は今後も堅調に拡大の見通しであることが明らかとなった。

2023年度の介護食、高齢者食、病者食を合算した国内市場規模は、加工食品(メーカー出荷金額ベース)が前年度比102.7%の1998億円、調理品(末端売上高(給食サービス提供価格、在宅配食サービス提供価格)ベース)は同103.5%の1兆5555億円と推計した。

内訳をみると、介護食の加工食品市場が前年度比103.4%の1350億円、調理品市場が同102.9%の5780億円、高齢者食の加工食品市場が同103.1%の300億円、調理品市場が同104.2%の3869億円、病者食の加工食品市場が同99.4%の348億円、調理品市場が同103.7%の5906億円と、病者食の加工食品を除く5カテゴリの市場で伸長する結果となった。

給食サービス業、とりわけ病院や高齢者施設のメディカル給食分野は365日、3食の食事を提供しなければならない。特に小規模高齢者施設は、喫食者数が少なく運営効率が悪い上に、人手不足で雇用の確保も難しくなっている。

そこで調理や配膳オペレーションの省力化を目的に、加工食品や完調品(完全調理品)の活用が徐々に浸透している。食品の温度帯は常温食品、チルド食品、冷凍食品等、様々であるが、人件費と食材費のバランスを取りつつ、日頃の提供メニューの中に活用されつつある。

また、個別メニューに対応した加工食品や完調品が進化している。主菜、副菜、小鉢、デザートまで、朝食、昼食、夕食、そしておやつまで品揃えし、再加熱し盛り付けるだけで食事が提供できる「完全調理メニュー」は、調理現場の人手不足の解消、省力化、時短化などのニーズに対応することで着実に市場を拡大させている。

高齢化や単身化を背景に、介護食、高齢者食の加工食品や調理品の市場は今後も拡大すると予測する。なお、国の政策や高齢者の生活スタイルの変化から、病院から高齢者施設へ、そして高齢者施設から在宅へと、高齢者の住処は今後も変化する見通しである。

一方、病者食の加工食品や調理品の市場では、腎臓病治療における食事療法の位置づけが低下していることで、たんぱく調整食などの使用が減少すると考える。

2028年度の介護食、高齢者食、病者食の加工食品市場規模は2215億円に拡大すると予測し、2028年度の同調理品(病院や施設の給食、弁当等の配食サービス)市場規模は1兆7232億円まで拡大すると予測する。

[調査要綱]
調査期間:7月~9月
調査対象:給食サービス企業、在宅配食サービス企業、加⼯食品メーカー
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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