高齢になると脱水状態のリスクが高まる? 喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけて

私たちの体に存在する水分の重さは、体重の60%以上を占めています。しかし、年齢を重ねると、体重の50%程度まで減少してしまうといわれています。これは、水分を多く貯蔵している筋肉が自然と細くなることや、体脂肪率が増えることなどが主な原因と考えられています。

さらに、神経の働きが低下することで、喉の渇きを感じにくくなります。すると、体に存在する水分が減少しているのにも関わらず、水分を補給する回数が減るため、「舌が乾きやすい」「口のまわりが乾燥する」「皮膚のシワが消えにくい」「尿が少ない」といった脱水症状がみられるようになります。やがて、体に存在する水分の約15%が失われると、脱水状態に陥ってしまいます。脱水状態になると、血液中の水分も減少するため、血液の流れが悪くなって血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす恐れもあるそうです。

水分は、尿や便、汗、呼吸などによって常に失われています。そのため、1日に2.5L程度の水分を補給するように心がけましょう。例えば、食事からは平均1L前後の水分を補給することができるので、飲料としては合計コップ8杯程度の水分を、のどの渇きを感じる前にこまめに補給することをおすすめします。起床後に1杯、食事後に合計3杯、間食時に合計2杯、入浴前後に合計2杯補給するようにすると、無理なく習慣づけることができます。また、夏は冷たい豆腐料理や麺類、冬は鍋物などの料理を取り入れると、季節感を楽しみながら水分を補給できます。

嚥下障害のある人や、糖尿病によって尿量が増加している人、嘔吐や発熱がみられる場合は、特に水分が不足しやすいため注意が必要です。また、介護を受けている人も、介護の手間をかけてしまうことを心配して、水分を意図的に控えることがあるので、介護を担当している人や周囲の人との信頼関係が重要です。頻尿に悩む人も意図的に水分を控えがちですが、腹部や下肢の筋肉を強化するなどの対策をとるようにしましょう。(監修:健康管理士一般指導員)


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