矢野経済研究所、レディス・メンズインナーウェア小売市場調査、2023年の小売市場規模はレディスで前年比99.8%の5525億円

矢野経済研究所は、国内のレディスインナーウェア、メンズインナーウェア小売市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、インナーウェアメーカーは素材や使用感等を向上させた高付加価値製品を投入しているものの、2023年のインナーウェア小売市場規模はレディスで前年比99.8%の5525億円、メンズで同99.6%の2280億円に達した。

2023年のレディスインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.8%の5525億円、2年連続の微減と推計した。ノンワイヤー(ワイヤレス)ブラやカップ付きインナーといった商品が、引き続き安定した売上をあげた。いわゆる「ゆったり、楽ちん」と謳った商品のバリエーションの拡充や、快適さを備えたインナーの開発強化、無縫製肌着の展開などが市場トレンドとなっている。

一方で、コロナ禍明けで外出機会が増えたことで、ノンワイヤーブラに比べて胸の締め付けがあるタイプもラインアップとして増えており、ユーザー側の「見た目の意識」が年々戻りつつある。

2023年のメンズインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.6%の2280億円、2年連続の減少と推計した。メンズインナーはレディスインナーに比べて商品バリエーションが少なく、新しく流行となる商品が生まれにくい特徴がある。それでも近年は、男性用のレース下着や、肌の透け感や臭いなどを意識したインナー類が各社から販売されており、メンズインナーの選択肢は増えてきている。

2023年のレッグウェア市場規模(小売金額ベース)は、前年比99.0%の5020億円と推計した。前年に比べて下げ幅は緩和されたが、市場のマイナス傾向は続いている。パンティストッキングの減少が市場低迷の一因であり、働く女性をはじめとした多くの女性の必需品であったが、コロナ禍を機に使用機会が大きく減少し、コロナ禍明けとなった現在でもコロナ禍前には戻らない状況にある。

国内のインナーウェア市場は少子高齢化に伴う対象人口の縮小という構造的な問題が横たわっている。

インナーウェアメーカー各社では、近年、素材や着用感等を向上させた高付加価値製品の投入によって、数量ベースの減少分を購入単価のアップでカヴァーし、収益性を確保する戦略が主流になっている。

2024年のレディスインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.9%の5520億円と、ほぼ横ばいを予測する。人口減少やライフスタイルの変化から、コロナ禍以前の市場規模まで回復することは難しい見通しである。コロナ禍を経て、新たな生活様式に適応したレディスインナー商品の提案をすることがインナーウェアメーカー各社の存続・成長のカギとなる。2024年のメンズインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.6%の2270億円と、横ばいから微減を予測する。レディスインナーと比較して、メンズインナーは機能やデザインでの訴求ポイントが少なく、付加価値のある商品提案が難しい。これまで通りの安価で手軽な商品を求める消費者の購入意識を、着用感や高機能に意識を向けさせることが商品企画のポイントになる。レディスインナー、メンズインナーともに近年の原価高騰や円安の影響から、メーカー各社は利益確保のための値上げを行っている。今後、さらなる単価の上昇も考えられるため、メーカー各社は価格上昇を納得させる付加価値をどのように消費者へ提案するかが大事になると考える。

[調査要綱]
調査期間:2024年7月~9月
調査対象:インナーウェア・レッグウェア市場に参入している製造業、卸売業、小売業、その他関連企業
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAXによる取材調査、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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