- 健康管理!教えて!!2025/02/04 23:45
体内で「脂質」が担う大切な役割とは? エネルギーやホルモンをつくる材料に
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みなさんは、「脂質」と聞くと、体に悪い、太るなどあまりよくないイメージを持つ人も多いと思います。しかし、脂質は、私たちの体内でエネルギーをつくるもとになるほか、ホルモンの材料になったり、細胞膜をつくって細胞の防御壁になったりと、非常に重要な働きをしているのです。今回は、脂質の役割についてみてきたいと思います。
まず、口から摂取した脂質がどのように運ばれていくのかをみてみると、消化管の中を進んでいった脂質は、消化によって小腸の細胞に吸収された後、中性脂肪やリン脂質、コレステロールといった分子につくりかえられます。これらはすべて、水になじまずに油になじみやすい部分を持っているため、そのままではリンパ液や血液の中には溶け込めません。
そこで、リン脂質とタンパク質が球状に集まって脂質を運ぶ乗り物「リポタンパク質」をつくります。この乗り物を形づくっているリン脂質は、油になじむ部分(疎水性)と水になじむ部分(親水性)を持つ性質があります。この性質を利用し、水になじむ部分を外側に、油になじむ部分を内側に向けて集まり、リポタンパク質をつくります。そして、その中に中性脂肪やコレステロール、油になじみやすい脂溶性ビタミンなどが入り、リンパ液中に運ばれ、やがて血液中に入っていきます。
次に、血液中に運ばれたそれぞれの脂質の主な働きをみていくと、まず中性脂肪は、血液中の脂質の大半を占めており、エネルギーをつくるもととして使われます。摂取量が多い場合は、体の皮下や腸管膜にある脂肪組織に蓄えられます。リン脂質は、細胞膜を構成する主な成分となります。私たちの細胞の膜は、リン脂質が互いに逆方向に向き合ってできています。水になじみやすい層は細胞膜の外側と内側の両端に、水になじみにくい層は細胞膜の内側にという位置関係です。このため、リン脂質の膜はイオンやある程度の大きさの分子を通さない細胞の防御壁となります。イオンや分子は、油になじみにくい性質を持っているからです。
これらの物質は、リン脂質の膜の中に埋め込まれている様々なタンパク質の働きによって、はじめて細胞の外から中へ、移動することができるようになっています。このように、物質が細胞内外を勝手に行き来することがないようにするために、リン脂質はとても重要な役割を担っているのです。また、コレステロールは、リン脂質同様、細胞膜の構成成分になる一方、胆汁酸やさまざまなホルモンの材料になっています。(監修:健康管理士一般指導員)