富士経済、アルコール飲料・清涼飲料類・嗜好品の国内市場調査、2025年市場予測ではトマト飲料が2023年比33.6%増593億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、自然災害や記録的な猛暑などの気候変動によって需要が変化している清涼飲料類、酒税法改正によって需要のシフトが顕著なアルコール飲料、原料価格高騰による値上げから消費変化がみられる嗜好品の3カテゴリー98品目の市場を調査した。その結果を「2025年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめた。2025年市場予測(2023年比)では、健康訴求に加え、美容効果が若年層に広く認知。ユーザーの取り込みが進み、市場拡大しているトマト飲料が593億円(33.6%増)を見込む。また、値上げによる買い控えはみられず拡大続く。長期熟成の付加価値ブランドが人気のウイスキーが4000億円(8.5%増)に達する見通しだ。

トマト飲料は、トマトを主原料とした飲料を対象とし、レモンなどを配合したフレーバー商品も含む。

2023年は、トマトの不作によって原料価格が高騰し、価格改定を実施した企業が多かったが、前年に話題となった美容効果への注目が一層高まり、リコピンの健康価値が改めて評価されたことから販売が伸び、市場は拡大した。

2024年は、前年に続き価格改定などもみられたが、健康価値や美容効果を中心としたニーズを獲得しているほか、食塩無添加商品が調理で使われるなど、活用の幅が広がっているため、市場は前年以上に伸びるとみられる。

健康を訴求した飲料商品が増加する中、競合激化による需要の流出などが懸念されるが、健康訴求に加え美容効果が若年層に広く認知されつつあることや、トマトにレモネードを配合した「TOMA 'NADE」(伊藤園)が発売され、飲みにくさなど味覚面でトマトジュースを敬遠していたユーザーを取り込んでいるため、今後も市場は拡大するとみられる。

ビール類は、国産ビール、国産発泡酒、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料(第三のビール)、輸入ビール類、クラフトビールを対象とする。

2023年は、値上げ分の寄与や、コロナ禍からの業務用の回復がみられたほか、10月に酒税法が改正され、減税により値下げとなった国産ビールが大幅に伸長した。一方、増税となった国産新ジャンルビール風味アルコール飲料は割安感が無くなったため大きく低迷した。

2024年は、前年の酒税法改正を機に、量販店などでは国産ビールの品揃えを増やし、国産発泡酒や国産新ジャンルビール風味アルコール飲料の棚を縮小する動きがみられる。量販店の棚陳列の効果もあり、国産ビールは「晴れ風」(キリンビール)が大ヒットするなどスタンダードビールが好調である。一方、クラフトビールや輸入ビール類は割安感が高まった国産スタンダードビールに需要が流れており、苦戦している。ただし、国産ビールはスタンダードビールが好調なものの、減税による単価の低下やプレミアムビールの苦戦により市場は縮小が予想される。

今後は、2026年の酒税一本化に向けて、メーカーや量販店は国産ビールへの注力度をますます高めるとみられる。国産ビールは当面伸びるものの、長期的には、若年層のビール離れやノンアルコールニーズの高まりへの対応など課題も多く、ビール類市場は縮小が予想される。

ウイスキーの2023年は、前年に続き長期熟成の付加価値ブランドを中心に国産ウイスキーへの注目度が高まった。輸入ウイスキーを含めて価格改定が行われたが、需要減少や買い控えなどはみられず、前年比二桁増となった。

2024年は、参入メーカーが国産、輸入双方で付加価値商品の拡販に注力している。また、引き続き若年層へのハイボール提案に注力することで料飲店での需要も伸びており、市場拡大が続くとみられる。

人気なのは長期熟成の付加価値ブランドであるが、原酒不足による供給不安に直面しており、安定した供給体制が整うまでは、他のアルコール飲料への需要流出が懸念される。一方で、上位メーカーでは長期的な安定供給に向けた設備投資も行われており、今後も市場拡大が予想される。

ココアの2023年は、テレビ番組でダイエット効果が紹介され、その後YouTubeなどSNSで話題となり、市場は3年ぶりに拡大した。2024年は、カカオ原料の高騰による値上げが実施されたほか、ココアのダイエット効果がSNSで継続的に取り上げられ、話題になることが続いており、機能性表示食品商品や無糖タイプを中心に好調なため、市場は拡大するとみられる。

これまでも数年おきにTV番組などで紹介され、腸活や快眠などの健康性に着目した一時的な需要増加とブームの収束を繰り返してきたが、SNSで継続的に取り上げられることで宣伝効果が続き、今後も市場拡大が予想される。

清涼飲料類は、2023年に価格改定が相次ぎ市場は拡大したものの、特に嗜好性の高い商品の買い控えにより販売量で苦戦した。2024年も引き続き価格改定が行われたことで買い控えの対象となった商品が増えており、PBや低価格帯商品への需要シフトがみられる。一方で、健康価値の訴求を強めた高付加価値商品の需要は底堅く、消費者ニーズは二極化が顕著となっている。

果実飲料では原料の供給不足が深刻となり、大容量商品の販売休止や販売抑制を強いられている。無糖炭酸飲料は安価なPBへの需要流出がありながらも、食事中など飲用シーンの広がりなどによって、伸びが続いている。また、乳性飲料では猛暑のなかで止渇性の訴求を強めた商品が好調である。

アルコール飲料は、2023年にビール類で酒税法改正が行われ、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料の需要が国産ビール、RTDに流出した。2024年も、国産ビールやRTDへの需要シフトが続いており、RTDは食中酒の需要を獲得している無糖商品やハイボールがけん引し好調である。しかし、RTDを中心に前年に比べて価格改定の実施が少なく値上げによる市場への貢献が弱いことや、国産ビールが減税により販売価格が低下していることもあり、市場は僅かに縮小するとみられる。

嗜好品は、2023年に市販用でレギュラーコーヒー、インスタントコーヒーなどで値上げによる買い控えがみられたが、業務用でホテル、外食向けの回復が市場を下支えし、値上げによる単価上昇もあり市場は拡大した。2024年は、9月以降に再び値上げが実施され、市販用の伸びが鈍化している。物価高を背景に節約志向が高まる中、PBや大容量商品など割安感のある商品への需要シフトとともに、ワンランク上の商品の需要増加など消費者ニーズは二極化がみられる。インバウンド需要や外食頻度の高まりによってホテル、外食向けなど業務用が好調であり、市場は引き続き拡大するとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2024年9月~11月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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