日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」とは? 脂肪の吸収を抑制し内臓脂肪や腹囲を減少

年齢を重ねても若い頃と同様の食生活を送っていると、筋肉量の減少や基礎代謝量の低下、運動不足などが影響しエネルギー消費量が減少してしまいます。すると、体内のエネルギーバランスが乱れ、脂肪を溜め込みやすくなり、体重が増え、肥満へとつながってしまいます。健康増進のためには、適正体重を維持することが重要ですが、仕事や生活環境などをすぐに変えるのは難しいのが実状です。そこで、昨年4月8日、大正製薬から日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」が発売されました。では、「アライ」とはどのような薬なのでしょうか。

「アライ」は、肥満であるが健康障害をともなわない人を対象に、内臓脂肪や腹囲を減少することを目的とした肥満治療薬です。ダイレクトOTC医薬品に分類され、処方箋を受けなくても薬局やドラッグストアなどで薬剤師の指導の下、購入することができます。「アライ」には、脂肪の吸収を抑制し内臓脂肪を減少させる有効成分である「オルリスタット」という薬剤が含まれおり、摂取することで食事から摂った脂肪分のうち、約25%を便として排出することが期待されています。国内の臨床試験も行われており、約1年間服用することで内蔵脂肪は21.52%、腹囲は4.82cm減らすことができたという結果も出ています。

通常、食事から摂取した脂肪は膵臓から分泌される脂肪分解酵素であるリパーゼによって、脂肪酸とグリセロールに分解されることで消化管から吸収されています。しかし、「アライ」を摂取するとオルリスタットの有効成分によって、リパーゼの働きが阻害され消化管で脂肪の分解・吸収がされないまま、便と共に体外へ排出されるのです。

「アライ」を処方するまでの流れとしては、購入の3ヵ月前から食事や運動などの生活習慣改善を行い、1ヵ月前から生活習慣記録をつけます。それを薬剤師が確認し、販売することができるか判断を行い、認められた人のみ説明を受けて購入することができます。なお、販売できる薬剤師にも条件があり、日本肥満学会が監修した専用のeラーニング研修システムを修了した薬剤師のみが販売に従事することができます。

「アライ」を服用すると、食事から摂取した脂肪(油)が吸収されず便から排出されるため、消化器系の副作用があります。便が油っぽくなることや便が近くなる、下痢などの症状があり、また、放屁で便が漏れたり肛門から油漏れしたりしてしまう場合があります。これらの副作用は、服用を開始して早い時期で出ることが多く、短期間でなくなる傾向にあるといわれています。症状を控えるためには、脂肪分の多い食事は控えることや下着にパットをつける、変化を感じたらトイレに行くなど対策をとる必要があります。他にも、油と一緒に摂取することで吸収されやすい脂溶性ビタミン(A、D、E、K)や必須脂肪酸であるEPAやDHAなどの体内で合成できない脂肪酸の吸収も阻害される可能性があるため、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の欠乏症による体の不調も懸念されています。

「アライ」は、薬の効果が目に見えて実感できる反面、日常生活に支障を与えかねない副作用もあるため、使用する場合は薬の特性をしっかりと理解した上で服用することが必要です。また、体重を減少するためには、食事療法や運動療法も合わせて行っていくことが重要とされています。(監修:健康管理士一般指導員)


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