富士経済、調味料・調味食品・スープ類・めん類・米飯類の国内市場調査、2025年予測では米飯類の雑穀(市販用)が245億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、メニュー汎用性の高い商品の需要が増加している調味料、簡便性の高い商品が伸びている調味食品、具材感訴求による食べ応えやコスパの良さで需要が増加しているスープ類、外食需要の増加で業務用が伸びているほか簡便性や割安感のある商品が支持されているめん類、米の代替用途や豊富な栄養素で注目が集まる米飯類の5カテゴリー97品目の市場を調査した。その結果を「2025年 食品マーケティング便覧 No.4」にまとめた。トピックスとして、2025年予測(2023年比)では、食卓のおかずや海苔の購入を控えてふりかけを使用するケースが増え拡大する調味食品のふりかけが601億円(4.2%増)に達する見通しだ。もち麦を白米に混ぜるかさ増し用途や豊富な栄養素の認知が広まり幅広い層のニーズを獲得する米飯類の雑穀(市販用)が245億円(22.5%増)と予測。値上がりに伴う買い控え対策として小容量商品の発売が進み拡大に貢献する調味料のオリーブ油が625億円(21.1%増)を見込む。

調味食品のふりかけの2023年は、新型コロナウイルス感染症の5類移行による人流の増加により、業務用は外食・中食需要が回復したほか、海苔の不作から代替需要が大幅に増加した。市販用は、弁当や行楽需要だけでなく高騰するおかずの購入を控えてふりかけを使用する消費者が増えた。また、各企業からトーストや冷奴、パスタ向けなど多様な利用シーンが提案されたこともあり、市場は577億円に拡大した。

2024年も、混ぜ込みタイプや若年層をターゲットにした商品などラインアップの拡充で新規ユーザー開拓の動きが続くとみられる。一方、値上げの影響で買い控えや購入頻度が鈍化する可能性もあり、市場は2023年と比較すると緩やかに拡大になり、前年比2.6%増の592億円が見込まれる。

種類別では、ふりかけは弁当や行楽需要の増加に加え、おかずの価格高騰に伴い需要を取り込んでいる。各企業は、商品の差別化や様々な料理での活用提案を積極的に実施している。混ぜ込みタイプは、外食・中食需要や行楽需要の回復に加えて、海苔不作の影響で弁当やおにぎり向けが増加するとみられる。

米飯類の雑穀(市販用)では、炊飯用の単品雑穀やブレンド雑穀のパック商品、押麦などの精麦のうち市販用のみを対象とした。

2023年は、健康志向の高まりで美容やダイエットに効果的な栄養素が含まれている点が注目され、若年女性を中心に新規ユーザーの獲得が進んだ。また、大手CVSや外食チェーンで雑穀を使用したメニューが発売されたことが認知向上につながり、市場は拡大した。

2024年は、米の価格が高止まりしており、もち麦を白米に混ぜるかさ増し用途などがメディアで取り上げられたことで需要獲得が進むとみられる。また、健康志向のさらなる高まりで腸活作用が期待できることで注目されており、幅広い消費者層の需要獲得で市場は前年比15.5%増になるとみられる。

販売チャネル別では、量販店は米不足の影響で雑穀の売り場が広がっている。ドラッグストアは、美容や健康意識が高い消費者との親和性が高く品揃えを強化する店舗が増加している。通販は、コロナ禍の外出自粛をきっかけに伸びが続いている。特に、健康志向の高いリピートユーザーからコストパフォーマンスの高い大袋商品の需要が増えている。

調味料のオリーブ油では、調理用途に加え生食用途で需要が増加したことで、2019年まで市場は拡大を続けてきた。2020年、2021年の市場は、新型コロナの影響で業務用において外食の需要が減少し縮小したが、2022年はスペインの歴史的干ばつに伴うオリーブの価格高騰が商品の値上げにつながり、単価上昇により市場拡大した。2023年も値上げが続いたことから販売量は減少したものの、市場拡大が続いた。販売量維持に向け、各企業から小容量商品の発売や新たな使用用途の提案が実施された。

2024年は、原料不作やスエズ運河閉鎖の影響で再度値上げが実施されたため、前年同様に販売量は減少するものの、市場拡大が予想される。市販用は、単価上昇に伴う買い控えのほかブレンド品や他の油種への需要流出が懸念されるが、業務用は高級イタリア料理店などでの需要回復が期待される。

調味食品のパスタソースでは、2023年は、業務用はインバウンド需要増加に伴う外食需要の回復で、ファミリーレストランやホテル・宿泊宴会場向けが伸びた。また、市販用は簡便性ニーズの高まりであえるタイプの商品や電子レンジ調理可能な商品が増加したことで、個食需要の獲得が進み市場が拡大した。

2024年は、業務用ではカフェ・喫茶やホテル・宿泊宴会場で店舗独自のアレンジが可能なベースソースなどが好調なほか、市販用では簡便性や容量・味を訴求した付加価値商品の需要が増え、市場は拡大が続くとみられる。

調味料は、様々な加工食品や調理済み商品などの値上げで消費者の節約志向が高まり、料理を手作りする消費者が増えたことで、市販用ではめん用たれ・ソースやうどんスープなどメニュー汎用性の高い商品が伸びた。また、業務用ではインバウンド増加などによる飲食店の客数増加や人手不足を背景に専用調味料のニーズが高まり需要が増加したため、2023年の市場は拡大した。2024年は、度重なる値上げの影響で販売量は減少が続くとみられる。業務用はホテルや飲食店の客数増加などで需要が伸びている。値上げによる単価上昇で市場は前年比1.6%増が見込まれる。

調味食品は、2023年は値上げの影響で消費者の生活防衛意識が高まり、様々な料理へ使用できる基礎調味料や冷凍食品へ需要が流れた。しかし、簡便性ニーズの高まりでレトルトカレーやパスタソースが前年同様に需要を獲得したほか、ふりかけが節約志向の高まりや参入企業による使用シーンの提案が進み需要を伸ばしたことで、市場は拡大した。2024年は、電子レンジで調理できる商品など簡便性訴求に加え、新商品の発売や既存商品のリニューアル、新たな食シーン提案による需要開拓が進むことで、市場拡大が予想される。

スープ類は、2023年は値上げによる買い控えがあったが、豊富なメニューや具材感訴求といった商品ラインアップの増加で需要を獲得し市場が拡大している。レトルトスープの蒸気抜けパウチ商品は、健康や野菜の具材感の訴求で主食や食卓のおかずとして食シーンが広がっているほか、フリーズドライみそ汁が食べ応えと価格のバランスが支持されたことなどが市場拡大につながった。2024年は、値上げの一巡で買い控えが落ち着くとみられ、また、各企業から高付加価値商品の発売や新たな利用シーンが提案されており市場は拡大するとみられる。フリーズドライの商品は防災意識の高まりで備蓄需要がみられるほか、おかずの1品となる食べ応えのある商品はデリカと比較した際の割安感が支持され、需要が伸びると予想される。

めん類は、外食需要の増加などで業務・加工用の国産パスタや輸入パスタが伸びたほか、そうめんやひやむぎなどの乾めんは猛暑で夏場の需要が長期化した。また、カップめんなどは簡便性や相対的な価格の安さが支持されたほか、備蓄需要が高まり、2023年の市場は拡大した。2024年は、引き続き外食需要の増加などで業務・加工用パスタ類や乾めんが伸び、市場拡大が予想される。消費者それぞれの味の好みや簡便性ニーズに対応するため、各企業はアレンジメニューの提案や時短調理の訴求、健康訴求などプライベートブランドとの差別化を図った商品展開を進めており、引き続き市場拡大が予想される。

米飯類は、包装餅は小サイズやスティック状といった、調理時間の短縮や食べやすさなどの付加価値を訴求した商品が伸びた。また、雑穀が若年女性を中心に美容やダイエット用途の新規ユーザーの需要を獲得するなどの要因もあり、2023年の市場は拡大した。2024年は、無菌包装米飯・レトルトライスでは多食パックが伸びるほか、自然災害による家庭内での備蓄需要や米不足による代替需要が増加するとみられる。また、雑穀はもち麦の腸活作用がメディアで取り上げられたほか、セット食品(カレーやリゾットなどのソース・米飯セット型商品)は、栄養バランス訴求商品のニーズが高まるとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2024年10月~12月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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