富士経済、H・Bフーズ(サプリメントや健康志向食品)の国内市場を総括、2024年市場見込は2023年比0.6%増の2兆8550億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、機能性表示食品制度の発足から10年を迎え、信頼性が一層重要視されるH・Bフーズ(H・Bフーズ:サプリメントと健康志向食品(明らか食品・ドリンク類:健康性を訴求する食品・飲料))の国内市場を総括した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 -総括・パーソナライズ編-」にまとめた。トピックスとして、2024年市場見込(2023年比)では、通常の食事からの置き換えやすさもあり、明らか食品やドリンク類がけん引したパーソナライズフードが105億円(47.9%増)と予測する。健康被害問題が影響も消費者の健康意識は高く、後半から回復傾向。インバウンドも拡大に寄与したH・Bフーズは2兆8550億円(0.6%増)を見込む。

この調査では、H・Bフーズをコンセプトや成分、チャネルなどの軸で横断的に分析した。このほか、注目される健康食品の”パーソナライズ”について、個人の状況(健康状態・体質・ライフスタイルなど)を把握する検査サービス、検査結果を基にカスタマイズされた食品を提供するパーソナライズフードに分類し、市場の実態や今後の成長可能性、注目企業の事例などを明らかにした。

パーソナライズフードでは、検査やアンケートなどによって明らかになった個人の健康状態や体質、生活習慣、悩みを基に、メーカーがカスタマイズしユーザーへ提案される、サプリメントや明らか食品、ドリンク類を対象とする。なお、パーソナライズフード単体もしくはパーソナライズフードと検査のセット販売を対象とし、検査サービス単体の展開は含まない。

2020年は、コロナ禍における消費者の健康意識の高まりを背景に、個人の体質に最適化した健康管理やダイエット、美容などに取り組む消費者が増加し、新規参入やサービス拡充の動きも活発化したことで、市場は前年比41.5%増と大きく拡大した。市場をけん引していたメーカーが撤退した影響で2021年、2022年と市場は縮小が続いたものの、2023年には既存メーカーの実績増や新規参入もあり拡大した。

2024年は、これまでパーソナライズサプリメントを展開していたユカシカドが明らか食品でのサービスを開始し実績を急拡大させたほか、「OMA MESI」「Body Granola」(共にカルビー)や「Inner Garden」(明治)といった大手食品メーカーの展開によって、日常的な食生活へ取り入れやすい明らか食品やドリンク類が伸び、市場は前年比47.9%増の大幅な拡大が見込まれる。

明らか食品は健康に配慮しつつもカレーやスープなどの嗜好性の高いメニューの展開が多く、通常の食事からの置き換えでも食事を楽しめることが大きな特徴であり、メニューの拡充やサービスの認知拡大により、さらなるユーザー増加、市場拡大が期待される。

一方、サプリメントは、顧客の獲得・定着が課題となっており、参入企業の中には注力度を下げたり、実績の伸び悩みからサービス縮小や撤退に踏み切るケースが散見される。利用者の継続性の高さや健康意識の高さといった観点からパーソナルジムやフィットネスジムと連携したサブスクサービスなど、親和性の高いロケーションでの展開が期待される。

H・Bフーズの国内市場は、新型コロナウイルス感染症の流行を契機に消費者の健康意識が高まったことを追い風に拡大が続き、特にスポーツサポートや免疫対策、ストレス緩和、睡眠サポートなど老若男女問わずニーズの高い訴求効能が大きく伸長した。2023年は新型コロナが収束に向かう中、特需は落ち着いたものの健康ニーズは根強く、人流回復や価格改定がプラスにはたらき、明らか商品、ドリンク類は高い伸びが続いた。

2024年は3月の健康被害問題の影響により、サプリメントは通販での需要減退が鮮明となり前年割れが予想される一方、明らか食品、ドリンク類は影響がほとんどみられない。消費者の健康意識が高止まりする中で一般食品からの代替や定期的に喫食する層が増えたこと、ドリンク類では猛暑による需要増加や脂肪・コレステロース値改善を訴求する濃い系緑茶が人気となったことなどから伸長し、H・Bフーズ市場は僅かながら拡大するとみられる。また、消費者の健康意識は依然として高く、2024年の後半にはメーカーの広告展開の効果などによりサプリメントでも回復がみられたことから、2025年以降も市場拡大が予想される。

なお、訴求効能別では、睡眠サポートがライトユーザーの離脱によって伸びが鈍化する一方、スポーツサポートは既存ユーザーのヘビーユーザー化が進むことで堅調である。また免疫対策、ストレス緩和はコロナ禍を経てユーザーの広がりがみられ、需要が高まっている。

2024年のチャネル別市場は、サプリメントの主要チャネルである通販で3月以降定期顧客の離脱や広告効率の低下がみられ、縮小が予想される。一方、量販店やCVSをはじめとする店頭チャネルは、人流回復や猛暑によるドリンク類の好調を追い風にしているほか、一般食品からの代替需要のシフトにより拡大するとみられる。

また、訪日外国人客数が過去最高を記録するなか、サプリメントを中心にインバウンド需要を獲得しており、薬局・薬店やその他に含まれるディスカウントストア、メーカー直営店を中心に実績が増加している。

種類別チャネル別H・Bフーズ市場(2024年見込)では、サプリメントは、商品の機能を詳しく説明できる点や、継続摂取しやすいよう定期購入が導入されていることから、通販が主要チャネルである。主要ユーザー層である中高年からシニア層は、健康被害問題に関する報道が続いた際に、特にネガティブな反応が多く、3月から6月にかけて顕著な需要減少がみられたことから、通販では前年比3.0%減が見込まれる。また、通販企業向け卸では、ブランドの認知拡大を目的にメーカーが露出強化を進めており増加している。

店頭チャネルでは、薬局・薬店は来店目的が多様化する中、インバウンド需要の増加が顕著であり、CVSは規模が小さいものの配荷が増えており、伸びるとみられる。

明らか食品は、量販店や薬局・薬店の比率が高い。量販店ではヨーグルトを中心に、チョコレート、ガム、キャンディなど菓子類の需要が大きい。薬局・薬店では食品の取り扱い増加や龍角散「龍角散ののどすっきり飴」シリーズなどのインバウンド需要取り込み、猛暑による塩タブレットの伸長などから高く伸びるとみられる。

通販は、比率が低いものの完全栄養食の認知が広がりロイヤルユーザーによるまとめ買いが増えていることから伸びている。

ドリンク類は量販店とCVSの比率が高い。量販店は、無糖茶飲料、乳酸菌飲料、野菜飲料など幅広いカテゴリーの商品があり、濃い系の無糖茶飲料をはじめとした新商品投入が続いていることから、伸びている。CVSでは訪日外国人も含めた来客数の増加と夏場の猛暑が追い風となっている。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]1月~3月
[小売価格]
書籍版:14万3000円
書籍/PDF版セット:17万6000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):19万8000円
ネットワークパッケージ版:28万6000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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