美肌を維持するためには「脂質の巡り」が重要に

みなさんは「脂質」について、どんなイメージを持っていますか? 肥満や動脈硬化、心筋梗塞など、様々な病気を引き起こす、身体にとって悪者というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、こうした病気は脂質を摂りすぎた場合に起こるものであり、逆に脂質が不足し体内の巡りが滞ると、美容面、特に肌の健康に大きな影響を及ぼすといわれています。

では、まず脂質の役割を見てみましょう。脂質には、「エネルギー源となる」「体温維持や内臓の保護」「細胞膜の材料となる」「ホルモンの材料となる」「脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける」といった重要な役割があります。そのため、脂質の摂取を極端に抑えてしまうと、エネルギー不足になり、倦怠感や痩せにつながるほか、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなり、それぞれのビタミンの機能低下を起こすリスクもあるそうです。

さらに、細胞膜の材料が不足することで肌トラブルや、髪のハリツヤがなくなるなど、美しさに影響が出てきます。特に、肌の表皮を構成する最も外側には「角質層」が存在しており、外からの物理的刺激(紫外線・花粉など)や乾燥から肌を守ってくれています。角質層内には、細胞間脂質の主成分であるセラミドや水が存在しています。セラミドは親水性を持つ脂質であり、角質層内で水と結合し、相互に並び層をなしています。

こうした角質層の構造を「ラメラ構造」と呼びます。通常はセラミドがあることで水は蒸発しにくくなっていますが、脂質が不足するとラメラ構造が乱れ、肌は乾燥し、炎症を起こしやすくなってしまうそうです。つまり、肌の水分を保ち、美肌をキープするためには、適量の脂質を摂取し、体内の巡りを維持することが重要になるのです。

そこでおすすめしたいのが、n-3系(オメガ3)脂肪酸であるEPAやDHAを豊富に含む青魚などを積極的に摂ることです。EPAやDHAは、血液をサラサラにするため動脈硬化の予防に期待できるとされています。その理由は、EPAやDHAが、肝臓において脂質の合成量を低下させるためです。この結果、肝臓から送られる中性脂肪の量が減り、血液中の中性脂肪の値が下がるため、血液がサラサラになると考えられています。(監修:健康管理士一般指導員)


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