Drink&Food♥2023/02/03 20:48

サントリーウイスキー100周年、山崎・白州両蒸溜所の品質向上や蒸溜所魅力訴求を強化、白州蒸溜所から特別なハイボール缶も発売

左から：サントリー福與伸二チーフブレンダー、サントリー鳥井信宏社長、サントリー取締役常務執行役員森本昌紀スピリッツカンパニー社長

2023年、サントリー創業者・鳥井信治郎が山崎の地でウイスキーづくりをはじめて100周年を迎える。1923年にウイスキーづくりへの挑戦をスタートさせてから、同社は絶えず「ウイスキー文化の創造・発展」「美味品質」に取り組み、ウイスキーの魅力を伝えるとともに品質向上へ弛まぬ研鑽を続けてきた。同社の企業理念である「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、“人間の生命（いのち）の輝き”をめざす」ことを体現する事業として、さらなるウイスキー文化の発展と品質向上に取り組むべく、2月1日にサントリーウイスキー100周年会見を行った。会見では、これからの100年に向けて、常に革新を続け、世界中の人々と自然と共生していくことで、「世界中から愛されるサントリーウイスキー」を目指す考えを示した。また、「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」を6月6日から数量限定発売することも発表した。

「1899年サントリー（当時鳥井商店）が創業。1907年発売の『赤玉ポートワイン』（現『赤玉スイートワイン』）という甘味葡萄酒のヒットによって、今日の礎を築いてきた」と、サントリー鳥井信宏社長。「『日本で“本格・本物”のウイスキーをつくりたい』という強い意志のもと、1923年に『山崎蒸留所』の建設に着手した」と、100年前にウイスキー事業への挑戦をスタートさせたと振り返る。「1929年に本格国産ウイスキー『白札』を発売。しかし、当時の日本人の味覚には合わず、受け入れられなかった。そこで、日本人の味覚にあう香味を追求し、1937年に『角瓶』を発売。鳥井信治郎の信念と執念から生まれた一瓶となった」と、「角瓶」の誕生がウイスキー事業の契機になったという。「創業以来当社は、美味品質に対し強い情熱を傾けてきた」と、高みを目指す大転換・飛躍の原動力は、“本格・本物＝真・善・美”を目指す起業家精神だったと説明する。

「当社はこれまで3名のマスターブレンダーと5名のチーフブレンダーで美味品質を作り上げてきた」と力説する。「また、1923年に山崎蒸留所を着手、1972年に知多蒸留所を着工、1973年に白秋蒸留所を竣工した。そして、1980年代に山崎・白州の両蒸留所を大改修した。この大改修後に誕生した山崎12年はISCを受賞。白州18年もISCを受賞している」と、1980年代の大改修で美味品質が形となって現れたのだと訴える。「さらなる美味品質を追求するべく、山崎蒸留所と白州蒸留所を改修する」と、品質向上および蒸留所の魅力を伝えるための改修を行うのだと述べていた。

次に、同山崎蒸溜所藤井敬久工場長が山崎蒸留所の改修内容についてオンラインで説明した。「山崎は古くから名水の里と呼ばれ、木曽川、宇治川、掛川が流れる熟成に適した環境となっている」と、蒸留所の地に選ばれた理由について解説。「山崎蒸溜所では、『パイロットディスティラリー』という小規模蒸溜施設で、1968年から、サントリーウイスキー全体の品質向上に向けた新たな技術開発・原酒のつくり分けに挑戦してきた。今回、直火加熱に加えて電気式加熱も可能な蒸溜釜を導入することで品質向上等の研究を始めるとともに、ウイスキーづくりにおけるチャレンジの象徴として活動していく」とのこと。「さらに、ウイスキーづくりを五感で体感してもらうべく、見学施設を今年秋ごろリニューアルオープンする」と、魅力訴求活動にも力を入れていく考えを示した。

同白州蒸溜所有田哲也工場長もオンラインで白州蒸留所の改修内容について説明した。「白州蒸留所は、山崎蒸留所に次ぐ、第二のモルト蒸留所として誕生。山崎蒸留所とは異なる原酒づくりを行っている」と、歴史を語る。「花崗岩に磨かれた良質な水が豊富な白州は、森林公園内に工場を有しており、自然との調和を目指してつくられた」と、野鳥の聖域でもあり、約50種の鳥たちを観察できるのだという。「白州蒸留所では、原料の一つである『酵母培養プロセス』を導入する。原料にまでこだわることで、さらなる『美味品質』の向上を実現する。また、“日本の自然・風土に育まれ、つくり手の技によって仕上げられる、日本人ならではの繊細なウイスキーづくり”や、ものづくりの現場である“蒸溜所の魅力”をよりいっそう体感できる施設としてリニューアルする」と、蒸溜所の魅力訴求を強化していくと訴えた。

同取締役常務執行役員森本昌紀スピリッツカンパニー社長がウイスキー戦略について説明した。「戦後復興から高度成長期にウイスキー市場が大きく拡大したものの、バブル崩壊を機に25年間ダウントレンドが続いた。しかし、ハイボールが流行したことで、底から脱却し、再び伸長を示している」と、ウイスキー市場の推移について語る。「創業者の鳥井信治郎は、世界に通じる本格・本物の洋酒づくりへの挑戦や日本で洋酒文化の浸透への挑戦を行ってきた」と、品質向上と需要創造を目指して挑戦してきたのだと力説する。

左から：サントリープレミアムハイボール〈山崎〉350ml缶、サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶

「100周年を迎えることで、山崎・白州両蒸留所を改修。料飲店での飲用時品質の向上として頂店ハイボール活動の深化を図る。そして、ハイボールをソウルドリンクにするべく、業務用・缶を中心にハイボール活動を強化。山崎・白州の品質を伝える100周年限定品を発売する」と、次の100年に向けて、品質向上と需要創造を強力に推進し市場成長をけん引し続けていくとのこと。「山崎・白州両蒸留所には100億円規模を投資し、品質向上と蒸留所の魅力訴求に向けた大改修を行う」と、大規模設備投資を行うのだと語気を高めた。

「今年のハイボールのマーケティングでは、業務用で飲用時品質の向上とおいしいハイボール体験の創出を行う。缶商品では中味品質の向上と三位一体の連動性を高めるリニューアルによるユーザー拡大を目指す。瓶では成長を実現するブランド価値向上を目指す」と、飲用時品質の向上と三位一体での接点強化を図っていくと説明する。

「1月下旬には『角ハイボール缶』をリニューアル。非加熱製法による炭酸ガス圧強化で爽快な味わいを実現した」と、お店の味わいに進化したのだと紹介する。

「そして、サントリープレミアムハイボール缶100周年限定商品として、『サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶』を6月6日から数量限定で発売する。中味は、ハイボールに合う白州モルト原酒のみを厳選し、心地よいスモーキーな香りとフルーティな味わいが特長となっている。グラスに氷を入れておいしく飲めるようブレンドした。パッケージは、グリーンをベースに森に囲まれた白州蒸溜所の全景を描き、『白州』の文字を大きく配することで本格感を表現した。さらに、『香るスモーキー』の文言で商品の特長を伝えている。今後、『サントリープレミアムハイボール〈山崎〉350ml缶』も販売する」と、ウイスキーの感動体験を提供するべく、プレミアムハイボール缶を販売するのだと述べていた。「さらに、『サントリーウイスキー100周年記念蒸留所ラベル』を限定発売する」と、蒸留所を描いた特別ラベルを、サントリーシングルモルトウイスキー「山崎」「白州」から発売すると発表した。

同福與伸二チーフブレンダーは、「サントリーシングルモルトウイスキー山崎12年」と「サントリーシングルモルトウイスキー白州12年」を中心に品質へのこだわりについて語った。「1980年代の山崎、白州の両蒸留所の大改修によって、その後の世界的な品質評価につながった」と、「サントリーシングルモルトウイスキー山崎12年」が改修14年後に金賞を受賞。「サントリーシングルモルトウイスキー白州12年」は改修25年後に同じく金賞を受賞。品質への取り組みが確実に商品へと反映されていったことが実感できたと語る。