- 健康管理!教えて!!2023/02/06 20:02
肥満は女性疾患のリスクを高める要因に?
新型コロナウイルス感染症の流行にともない自宅で過ごす時間が増え、コロナ禍以前に比べて体重が増えたという人は多いのではないでしょうか。この原因としては、外出自粛による運動不足に加えて、生活環境の変化などによるストレスが影響が挙げられま。ストレスがかかると、ホルモンの分泌に異常が起こる場合があるそうです。例えば「コルチゾール」の分泌が増えることにより、食欲抑制効果のある「レプチン」の分泌が低下し、過食傾向になるといわれています。
そして、食べ過ぎが続いて肥満になると、ホルモンバランスが乱れるため、月経不順や不妊など女性疾患につながるリスクもあるとのこと。実は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は卵巣だけでなく、脂肪細胞にもかかわっています。なぜなら、脂肪細胞に存在する酵素の働きで、副腎から分泌される男性ホルモンをエストロゲンに変えているからです。そのため、脂肪細胞からもエストロゲンが分泌されており、肥満になるとエストロゲンの分泌量が異常に増え、ホルモンバランスを乱す危険性が高まります。
また、閉経後の肥満は、乳がんや子宮体がんのリスクを上げるといわれています。閉経後は卵巣からのエストロゲンの分泌量は低下しますが、肥満により脂肪が多いとエストロゲンの分泌は増えます。多くの乳がんや子宮体がんにおいて、エストロゲンががん細胞内のエストロゲン受容体と結合することでがん細胞が増殖していくといわれているため、肥満によりエストロゲンの分泌量が多いと発症のリスクが高まるので注意してください。
このほかに、肥満はアルツハイマー型認知症の発症にもかかわっているといわれています。アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという異常なたんぱく質が脳細胞に沈着することで発症すると考えられています。原因となるアミロイドβの排出には、インスリン分解酵素がかかわっているとされています。
肥満で内臓脂肪がたまると、インスリンの効きが悪くなってしまいます。この状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。インスリン抵抗性が高くなると、インスリンが十分に分泌されているのにも関わらず高血糖状態が続くため、血糖値を下げようとさらにインスリンの分泌量が増えます。すると、インスリン分解酵素がインスリンの処理に使われて消費されてしまいます。その結果、アミロイドβが蓄積していき、アルツハイマー型認知症の発症につながるといわれています。(監修:健康管理士一般指導員)