「胆のう」はどこにあって何をしている臓器? 胆汁を貯蔵する体内の濃縮タンク

みなさんは、「胆のう」という臓器の名前は知っていても、体内のどこにあって何をしているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は、そんな知られざる胆のうの役割についてみていきましょう。

まず、胆のうは、肝臓の下に存在している袋状の臓器で、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中から胆のう管によってつながっています。形は、野菜のナスや果物の洋ナシに似ています。成人の胆のうの平均的な大きさは、縦10cm、幅2~3cm、容量30~50mlとされています。胆のうの壁は薄く伸び縮みしやすい筋肉でできていて、内側を覆う粘膜にはシワがびっしりと寄っているそうです。

胆のうには、肝臓でつくり出された胆汁が流れ込んできます。胆汁は、脂質の消化吸収を助ける液体です。胆のうは、胆汁の90%以上を占める水分やその他の成分を吸収し、5~10倍に濃縮して貯蔵するタンクのような役割を担っています。これによって、黄色だった胆汁の色は黒っぽく変わります。

そして、胃で消化された食べ物が十二指腸に流れ込むと、十二指腸の粘膜の細胞からコレシストキニン(パンクレオザイミン)というホルモンが分泌されます。すると、このホルモンに反応した胆のうは、筋肉を収縮し、胆汁をしぼり出します。その量は、食べ物を口にしてから約1時間後に増え始め、さらに1時間後には最も多くなり、以降は徐々に減っていきます。なお、1日当たりの量を合計すると約1Lにもなるそうです。

胆のうに関わる病気で、気をつけたいのがコレステロール結石(胆石)です。胆汁の成分の1つであるコレステロールは、同じく胆汁の成分である胆汁酸とリン脂質の力で胆汁中に溶け込んでいます。しかし、コレステロールの割合が高くなると、溶け込み切れなかったコレステロールが少しずつ固まり、やがて、指でつぶせる硬さの石のような塊が胆のうや胆管の中でつくり出されます。これがコレステロール結石で、その大きさは数mmから数cmまでとさまざまです。

コレステロール結石ができる原因は明らかになっていませんが、脂質の多い食事をよく取る人や、肥満の人、ストレスの多い人にできやすい傾向にあるそうです。肉の脂身や油っぽい料理を控えることは、生活習慣病を予防することにもつながりますので、肉を食べるときは、油で揚げたり焼いたりした料理だけでなく、ゆでたり蒸したりした料理も選ぶなどの工夫をしてみましょう。(監修:健康管理士一般指導員)


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