ベジタリアンとヴィーガンの違いとは? 世界で広がる「ミートフリーマンデー」の動き

近年、宗教による食の制限だけでなく、健康・美容、地球環境、倫理、動物愛護の観点、食の安全性の確保などの理由で肉を食さない人や野菜を中心として食する人が増えてきています。そこで今回は、最近耳にすることが多くなった「ベジタリアン」と「ヴィーガン」にフォーカスを当て、食に対する考え方や食に対する様々な選択肢についてみていきましょう。

穀物・野菜・豆類などの植物性の食品を食する人々をベジタリアン(菜食主義)といいます。ベジタリアンは、単に野菜を中心とした食事をするというイメージがありますが、野菜以外の食するものや食し方によって10種類以上に分類されるとのこと。食に限らず、化粧品などの生活用品や身に着けるものに対しても動物由来のものを避け、動物の命を大切にするという「エシカルヴィーガン」という環境保全や社会貢献の意味合いを持つ考え方もあります。また、国際目標であるSDGsの観点から将来の地球環境や未来の子どもたちのために選択する人もいます。

ベジタリアンという名称は、英語の「ベジタブル(野菜)」からくるものと連想されますが、その語源はラテン語の「ベジタス」で、「健康かつ新鮮で、生命の力にあふれている」という意味があるそうです。そして、その中でも卵や乳製品、蜂蜜を口にしない人をヴィーガン(完全菜食主義)といいます。ヴィーガンは、食品添加物や調味料などを含む動物性食品を摂取せず、化粧品や日用品を含め動物を傷つけることにつながるものは避けるとする考え方です。

厳格なヴィーガンでは、上白糖を使用しない人もいます。それは精白、精製の段階で牛骨粉が使用されていることがあるためです。甘いものすべてがよくないというわけではなく、代わりに黒砂糖やメープルシロップ、てんさい糖やきび糖、デーツ、アガベシロップなど、精製されていない極力自然な方法で製造されたものを使用します。現在では、大豆など植物性食品を使用した代替肉なども増え、食の選択肢の一つとして取り入れる人が増えてきています。

こうした中で、日本でも内閣府や都庁などでベジタリアン食が導入されています。これは「ミートフリーマンデー(月曜だけはベジタリアンになろう)」というもので、週に一度だけ動物性の食品を使わない定食などが提供されているそうです。この活動は、世界各地で広がりつつあり、目的としては思想の強要などではなく、菜食をすることで地球環境保護や動物愛護につながること、食をみんなで楽しむということが挙げられます。

「ミートフリーマンデー」の背景としては、肉食文化が進んだことによる生産に必要な穀物の量が関係しています。牛肉1㎏の生産に穀物が11㎏、豚肉で7㎏、鶏肉で3㎏、また鶏卵で3㎏がおおよそ必要とされます。さらに広い土地を確保するために伐採が進められたり、大量の水など多くの資源が必要となります。また、家畜は温室効果ガスの一つであるメタンガスの発生源であることも知られており、温暖化を防ぐことにもつながってくると考えられています。(監修:健康管理士一般指導員)


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