現代社会がもたらす疲労とは? 情報過多による「脳疲労」とストレスによる「精神疲労」

現代は、スマートフォンやパソコン、テレビなどによって日々あらゆる情報を受け取っています。私たちが1日に触れる情報量は、江戸時代の1年分、平安時代の一生分ともいわれています。そして、それらの情報は視覚、聴覚を通じてすべて脳に伝達され、必要の有無を取捨選択しています。そのため、私たちの脳は、気づかないうちに疲労が蓄積しているそうです。

現代社会特有の情報過多による疲労は「脳疲労」と呼ばれています。通常、伝達された情報は脳で処理を行い、必要な情報とそうでない情報に分けられていますが、その中心となるのが「前頭前野」が担うワーキングメモリという働きです。ワーキングメモリは、入ってきた情報を一時的に脳に保存し、優先順位をつけて処理をします。

しかし、ワーキングメモリが同時に処理することができる情報は約5~7個といわれており、それほど容量が多いわけではありません。そのため、一度に多くの情報を取り入れる環境にある現代は、ワーキングメモリの容量が不足することで、脳疲労が起こりやすいと考えられています。この結果、集中力が欠ける、ミスが生じやすくなるなどといった症状が現れるとされています。

また、長時間のデスクワークでほとんど動かないにもかかわらず、1日の終わりにどっと疲れを感じることはありませんか? これは、長時間同じ場所から動かないことで生じる肉体的ストレスに、仕事のプレッシャーや人間関係などの精神的ストレスが加わることで、交感神経が刺激され続け、自律神経が乱れ疲労を感じるようになるといわれています。

日常のストレスにより不安や恐怖などを感じると、側頭葉の内側にある「扁桃体」の働きが活発になります。扁桃体は情動と感情の処理や直観力、ストレス反応の役割を果たしており、主に不安や緊張、怒りなどのネガティブな感情に関わっています。扁桃体は前頭前野によって制御されており、ストレスが加わると前頭前野が扁桃体の働きを抑制し、情緒を安定させようとします。しかし、過剰なストレスにより扁桃体が働き続けると、前頭前野の制御が効かなくなり、些細なストレスにも過敏に反応し、慢性的なストレスや脳疲労を招くと考えられています。(監修:健康管理士一般指導員)


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