漢方医学の診察で「証」を診たてるポイントは? 前編~「陰・陽」「虚・実」のモノサシ

漢方医学では、患者を診察する際に「証(しょう)」という診たてをします。証とは、患者の体質、病態の個性や特徴、すなわち患者のこころと体の状態を全体的に表すものです。例えば、体格が良いか悪いか、体力があるかないか、顔色が良いか悪いか、太り気味か痩せ気味か・・などを、総合的に診ていくことです。

証が違えば、西洋医学でいう病名が同じ人同士でも、異なる漢方薬を処方することがあります。これを「同病異治・異病同治」といいます。例えば、風邪にかかった場合、赤ら顔で暑がりの人と、青白い顔で胃腸が弱い人では、処方する漢方薬は異なります。反対に、風邪や肩こり、じんましんといった、西洋医学ではまったく違う病気にも、葛根湯という同じ漢方薬を用いることがあります。一見、関係のない病気に、同じ薬を用いるのは、その人の病態を示す証が同じだからです。

証を診たてるためには、患者の病態を客観的に診るためのモノサシ、つまり漢方医学の診察標準が必要になります。漢方医学には、「陰・陽」「虚・実」「寒・熱」「表・裏」という概念があり、生命のエネルギーや体の働きを表す「気・血・水」と組み合わせ、病態の性質や原因を表現します。今回は、「陰・陽」と「虚・実」についてみてみましょう。

「陰・陽」とは、患者の病態・体質を表すモノサシです。「陰」は、元来は日陰のことで、それから連想される「暗い」、「冷たい」などの状態を指す言葉です。つまり、寒がり、顔色が青白い、手足が冷える、下痢気味などの場合は「陰証」とされます。「陽」は、元来は日向のことで、それから連想される「明るい」、「暑い」などの状態を指す言葉です。つまり、暑がり、顔色が良い、冷たい飲み物を飲む、脈が速いなどの場合は「陽証」とされます。陰と陽のどちらか一方に傾くのは好ましくなく、バランスが取れた状態が良いとされています。

「虚・実」とは、体力や抵抗力の程度を示すモノサシです。体力や抵抗力が充実している人を「実証」、体力がなく弱々しい感じの人を「虚証」といいます。また、虚・実の特徴を半分ずつ持つ人は「中間証」といいます。実証を示す人は、健康そのもののように見えますが、そうではないとのこと。実証は、体力が充実すると共に、便秘があったり、コレステロールや中性脂肪、血圧、尿酸値が高かったりするなど、排除されるべき余分なものが体内にある状態と考えられています。虚・実は、体格だけでなく、顔色、声の出し方、姿勢、性格などを総合的に診なければ判断することができないそうです。

次回は、「寒・熱」と「表・裏」のモノサシについてみていきます。(監修:健康管理士一般指導員)


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