- 健康管理!教えて!!2024/08/20 22:39
体が酸化されるとどうなる? 活性酸素によって引き起こされるさまざまな病気
私たちの体の中では、あらゆるところで活性酸素が発生しています。では、活性酸素によって体が酸化されるとどうなるのでしょうか。そして、そのような病気が引き起こされるのでしょうか。
活性酸素は、強力な酸化作用で、相手の性質をどんどん変えてしまいます。それを私たちの体に置き換えてみると、活性酸素が体内の脂肪酸やタンパク質、酵素などの性質を変えてしまうということです。例えば、脂肪酸は活動エネルギーであると共に、細胞膜を構成する重要な要素です。この脂肪酸がヒドロキシラジカルなどによって酸化されると、「脂質ペルオキシラジカル」と呼ばれるフリーラジカルに変化します。そして、細胞膜を酸化させ、細胞膜の脂質を「過酸化脂質」という有害な物質に変化させてしまいます。
また、細胞の中にあるミトコンドリアが酸化されると、細胞の核の中にあるDNAが傷つけられ、間違った遺伝子情報が伝達されてしまいます。細胞は、分裂する際にDNAにインプットされた情報をコピーします。ところが、DNAが傷つけられてしまうと、情報が正常に伝わらなくなり、細胞の機能に多大な影響を及ぼします。
こうした活性酸素による体の酸化によって引き起こされる病気として挙げられるのが「がん」です。活性酸素によってDNAが傷つけられ、遺伝情報に誤りが生じると、異質な細胞が生まれることになります。そして、その異質な細胞がどんどん増え、歯止めが利かなくなった状態が「がん」です。DNAを傷つけ、がん化のきっかけをつくったり、がん化を促したりする物質を「発がん物質」といいますが、その多くは活性酸素の発生源です。中には、直接DNAを傷つけるものもありますが、多くの場合、発がん物質がつくる活性酸素が傷をつける要因になっています。
また、昼夜を問わず活動を続けている脳は、酸素の消費量がとりわけ多い場所です。活性酸素の影響が大きい脳の病気としては、脳血管障害、アルツハイマー病などがあります。脳血管障害では、活性酸素による血管の老化や虚血・再灌流を繰り返すことによって、組織障害が進んでしまう恐れがあります。アルツハイマー病の原因である神経細胞の死滅も、活性酸素の影響が大きいといわれています。
動脈硬化が起こる過程でも、活性酸素が関わっています。動脈硬化の危機因子には、LDL(悪玉)コレステロールが挙げられます。しかし、LDLコレステロールは、活性酸素によって酸化されなければ、それほどの害はないといわれています。
さらに、この時期に注意したいのが紫外線です。紫外線は肌や細胞内の水分を破壊し、活性酸素を発生させます。活性酸素は、皮膚を構成する成分、とりわけ脂質を酸化させ、過酸化脂質をつくります。そして、老化色素といわれるリボフスチンをつくるため、シミの原因となります。また、肌の弾力を保っているコラーゲンやエラスチン(線維組織)も酸化によって変性するため、シワ・たるみの原因になってしまいます。(監修:健康管理士一般指導員)