疲労回復のための食事のポイントは? 目的に応じた栄養素をバランスよく摂取

私たちは、睡眠による休養や趣味などのリフレッシュ効果で疲労回復をしていますが、うまく解消できないまま日々の疲労を積み重ねると、慢性化してしまう恐れがあります。そこで重要になるのが食事です。しかし、食事から単にエネルギーを補給するだけでは体内の栄養バランスが乱れたり、内臓疲労につながったりすることもあります。疲労回復のためには、目的に応じた栄養素をバランス良く取り入れることがポイントです。

例えば、筋肉疲労の回復では、「タンパク質」と「ビタミンB1」が重要な栄養素になります。運動で筋肉に負荷を加えると、筋タンパク質の分解が進んだり筋線維が破壊されるため、通常よりもタンパク質を多く摂取し、筋肉を修復することが大切です。また、タンパク質は筋肉だけでなく、全身の細胞や組織を作るためにも必要です。肉や魚、卵などの動物性タンパク質は消化吸収が速く、運動によって筋線維を破壊された筋肉に対して、効率的に栄養素を補給することができます。一方、大豆や大豆製品などの植物性タンパク質は、消化・吸収が緩やかで、動物性タンパク質に比べ脂質が低いです。どちらか一方を摂るのではなく、偏りのないようバランスよく摂取しましょう。

ビタミンB1は、糖質などをエネルギーに変換するために必要なビタミンです。解糖系や酸化系のエネルギー産生の一部で使われ、筋肉や神経の疲れを和らげる働きがあります。体内で生成できないため、食品からの摂取が必要です。特に玉ねぎやにんにくに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を促すため、一緒に摂ると効果的です。

脳疲労の回復には、「糖質」「DHA」「ビタミンC」が重要となります。脳のエネルギー消費量は体全体の約20%であり、その主なエネルギー源が糖質です。食事から摂取した糖質は、体内でブドウ糖(グルコース)に変換され、脳と他の組織にエネルギーを供給します。そのため、血液中のブドウ糖が不足し、脳に十分な栄養素が行きわたっていないと思考力や集中力が低下してしまいます。一方で、糖質の過剰摂取は血糖値の急上昇を招くため、甘いものは少量を数回に分けて摂取することをおすすめします。

n-3系多価不飽和脂肪酸のDHAは、脳内に入り脳神経機能の働きを助け、記憶力や判断力を高める作用があります。必須脂肪酸の一つであるため、食品からの摂取が大切です。ビタミンCには、疲労の原因となる活性酸素の発生を抑制する働きがあります。また、酸味成分であるクエン酸は、食べたものをエネルギーに変換し、疲労解消に効果を発揮します。

精神疲労の回復では、「ビタミンA・C・E」「トリプトファン」「テアニン」が大切です。ビタミンA、C、Eは、強い抗酸化作用を示すビタミンで、通称ビタミンACE(エース)ともいわれています。疲労の原因の一つである活性酸素の除去に必要な栄養素です。抗酸化作用を高めるためには、これら3つのビタミンを組み合わせて摂取することがポイントになります。また、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは、自律神経のバランスを整え、精神状態を安定、リラックスさせる働きがあります。しかし、セロトニンは食品から摂取できないため、セロトニンの材料となるトリプトファンを摂取することが大切です。

テアニンは、緑茶のうま味、甘みの成分で、興奮を抑制し緊張を和らげ、心身をリラックスさせる効果があります。テアニンが脳内に入ることで、神経伝達物質のドーパミンやセロトニンを分泌促進させ、血圧降下作用や脳神経細胞保護作用に加え、記憶力や集中力を高める効果があります。同じ姿勢、同じ作業で疲労を感じた時は、テアニンを含む緑茶を飲んで少し休んでみるとよいでしょう。(監修:健康管理士一般指導員)


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