「目の生活習慣病」とも呼ばれる加齢黄斑変性とは? 黄斑が障害され視力が大幅に低下

黄斑変性は、物を見るのに中心的な働きをする「黄斑」に異常が起こる病気です。その原因ははっきりしていませんが、加齢にともなって患者数が増えていることから、老化が原因の1つに挙げられています。また、偏った食事による動脈硬化や紫外線などが関係して発症すると考えられているため、「目の生活習慣病」とも呼ばれています。今回は、加齢黄斑変性について詳しくみていきましょう。

黄斑は、網膜の中心にある直径約1.5mm~2㎜範囲の名称で、中心には中心窩という小さなくぼみがあります。そして、キサントフィルという色素が豊富にあるため、黄色い色をしています。網膜の中でも特に視細胞が多く集まっているため、解像力に優れています。それだけに、黄斑が障害されると、網膜に異常がなくても視力が著しく低下してしまうのです。

では、なぜ黄斑変性が起こるのでしょう。私たちが物を見ているとき、網膜は休むことなく働いています。この重労働を支えるための豊富な酸素と栄養素は、網膜だけでなく脈絡膜の毛細血管からも補給されています。そのため、活発な代謝によって大量のエネルギーを補給する一方で、老廃物も多くなります。若いうちはスムーズに排出できていた老廃物が老化によって処理しきれなくなると、網膜と脈絡膜の間に蓄積していきます。その結果、血液の循環が悪くなり、黄斑の酸素と栄養素が不足しがちになり、黄斑自体の萎縮や変性が起こると考えられています。

加齢黄斑変性は、その変性の仕組みによって「滲出型」と「萎縮型」の2つに分けられます。「滲出型」は、弱った組織をカバーするための応急処置である新生血管が本来ないはずの場所に発生し、中心窩の血管が破れたり、破れた血管から成分が漏れ出したり、網膜を突き破ったりすることで黄斑がダメージを受け、視力や視界に異常が現れます。また、新生血管の生え方によって、「典型加齢黄斑変性」「ポリープ状脈絡膜血管症特殊型」「網膜血管腫状増殖特化型」の3タイプに分けられます。

「萎縮型」は、加齢とともに網膜の細胞が変性し、老廃物が蓄積して栄養不足に陥ってします。その結果、網膜色素上皮と視細胞が萎縮することによって黄斑の変性が起こります。そして、視細胞の数が減ってしまうため、視力が低下します。新生血管の発生はなく、進行はゆっくりですが、滲出型に変わることもあるので、定期的な検査が大切です。(監修:健康管理士一般指導員)


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