アミノ酸飲料を飲めば太りにくくなる? 運動と併用することで脂肪が燃えやすい体に

体力の限界に挑戦するアスリートの世界では、記録更新のためにアミノ酸を取り入れたトレーニングが行われています。その理由は、アミノ酸に筋力や持久力をアップさせ、疲労回復を早め、さらにそれらの効果がケガの予防につながることがわかったからです。最近では、コンビニなどでアミノ酸飲料が手軽に買えるようになり、“脂肪を燃焼して太りにくい体になれる”として、一般にも広がりつつあります。しかし、アミノ酸飲料を飲んでいれば、本当に太りくくなるのでしょうか。

アミノ酸の中でも特に筋肉のタンパク質に多く含まれる必須アミノ酸が、バリン、ロイシン、イソロイシンです。これら3つのアミノ酸は枝分かれする分子構造をしているため「分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)」と呼ばれます。みなさんもよく耳にする「BCAA」とは、この頭文字を取ったもので、分岐鎖アミノ酸の総称を表しています。

BCAAは、筋肉のタンパク質に含まれる必須アミノ酸の約40%を占めています。摂取したアミノ酸のほとんどが主に肝臓で代謝されるのに対し、BCAAのほとんどは筋肉で代謝され、エネルギー源として使われます。激しいトレーニングや長時間の運動によって筋肉中のグリコーゲンが不足してくると、エネルギー源を補うために筋肉中のタンパク質が分解され、BCAAがエネルギー源として利用されます。その結果、筋肉の組織が損傷し、コンディションも悪くなってしまうのです。

そこで、アスリートは、運動する前後または運動中にもこまめにBCAAを摂取して筋肉中でエネルギー源として効率的に利用すると共に、タンパク質の分解を抑制して筋力や持久力を向上させています。そして、筋肉の修復や疲労の回復を図ることによって、無理なく運動し続けられる最高のコンディションをキープしています。

このように、BCAAは、単に脂肪を燃焼するものではなく、運動と併用することによって筋肉をつくり、基礎代謝を向上させて「脂肪が燃えやすい体をつくる」ものなのです。運動をして筋肉をつけてこそ、その効果を発揮するものなので、アミノ酸飲料を飲んでいるだけでは太りにくい体を手に入れることはできないそうです。(監修:健康管理士一般指導員)


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