物価上昇の影響で先進国でさらに広がる「健康格差」

近年、途上国だけなく、先進国でも「健康格差」が拡大しつつあります。例えば、米国では、日本のように国民皆保険制度(すべての人が公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことでお互いの負担を軽減する制度)ではないため、収入が少ない人は病気になっても十分な医療サービスを受けることができないことなどが背景にあり、健康格差が広がっています。

一方、日本を見ると、医師の人数や専門性の高い医療機関数、医療機関までのアクセス時間など、都市部と地方との医療環境に格差が生じています。厚生労働省による「健康日本21(第二次)」(2013~2022年)では、地域格差に焦点を置き、日常生活に制限のない期間(健康寿命)の都道府県格差の縮小を目指しています。

健康格差を生み出す主な要因の一つとして「所得格差」が挙げられます。生まれた家庭の社会経済的地位によって、子どもの頃の教育水準や生活習慣などに違いが生じてきます。例えば、生活の中で栄養や病気の予防に対する知識を習得する機会の差です。子どもの頃の経験は、大人になってからの生活にも影響することから、成人期における健康格差にもつながる場合があります。また、正規社員に比べて、非正規雇用の人は健康診断の受診率が低い特徴があるそうです。

さらに、所得格差に加えて、昨今の物価上昇により、先進国における健康格差がますます広がっていく可能性もあるとのこと。昨年は、ウクライナ情勢や急速な円安などの影響で輸入価格や原材料、輸送費などの高騰による物価上昇が著しく、現在も日々の食生活で欠かせない様々な商品の値上げが続いている状況です。

特に、高所得者層に比べて低所得者層は、全体の支出に対する食品をはじめとした生活必需品の割合が大きいといわれています。そのため、食品の値上げにより購入する食品の種類や内容にも影響を及ぼし、栄養バランスの乱れや食事内容の悪化を招き、さらなる健康格差へとつながることが懸念されています。(監修:健康管理士一般指導員)


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