- 健康管理!教えて!!2024/11/01 23:54
子どもが親に似ているのはなぜ? 生殖細胞の減数分裂によって両親の染色体を半分ずつ継承
私たち個人が存在しているのは親から生まれてきたからであり、親から子どもへと遺伝情報を伝えながら生命は受け継がれてきました。「親に顔が似ている」「頭がいいのは親譲り」などとよくいわれますが、これは親から子どもへ伝えられた約2万数千種の遺伝子の発現の仕方によって身体的特徴や性格が形成されたことを意味します。そして、この遺伝的特徴の継承は生殖細胞分裂によって起きています。
細胞分裂とは1個の細胞が分裂して2個の細胞になる(増える)ことをいい、私たちの体で常に行われています。細胞分裂には、生物を成長させるために細胞を増やす「体細胞分裂」と、生殖細胞、つまり精子と卵子によって子孫を残すための「減数分裂」があります。ともに染色体を複製し、分裂させることで染色体数やDNAの数を調整しています。これらは「細胞周期」というサイクルで行われており、間期(分裂にあたりDNAを複製し、準備する期間)と分裂期(細胞が分裂し、新たな細胞を生み出す時期)があります。
体細胞分裂は、1つの細胞(母細胞)から2つの細胞(娘細胞)を作ります。分裂後の細胞が成長して大きくなり、分裂することで生物の中での細胞数が増え、成長につながります。また、損傷した組織の修復や古くなった細胞を新しい細胞に変える働きもしています。この体細胞分裂では、元の細胞と全く同じものを作り出すために遺伝情報を持つ染色体がコピーされます。結果的に、2つの細胞には元の染色体がそれぞれ一セットずつ入っていることになるため、元の細胞と同じものが増えていきます。
一方、減数分裂では、1つの細胞(母細胞)から4つの細胞(娘細胞)を作ります。私たちが親に似ている部分があるのは、減数分裂によって両親の染色体を半分ずつ受け継いでいるからです。体細胞分裂同様にコピーが作られた後、遺伝子の一部が組み替えられてから2つに分裂します。さらに第二分裂と呼ばれる分裂が起こり、46本の染色体が2つに分けられます。こうしてできた精子や卵子は染色体を23本しか持っていませんが、受精によってそれぞれが合体し、46本の染色体を持つことになります。2回の分裂によって染色体数が母細胞の半分になるため、減数分裂といわれています。
本来ヒトの染色体数は46本ですが、減数分裂を行わなかった場合、親から引き継ぐ子どもの染色体の数は2人分の92本になってしまいます。そこで、減数分裂を行うことで染色体の数を減らし、受精した時に相手の染色体と合わせて46本になるようにしています。生物の染色体の数はそれぞれ決まっているため、生殖に用いる細胞では減数分裂を行う必要があるのです。(監修:健康管理士一般指導員)