活性酸素の害から体を守る「酵素」の働きとは? 対応する活性酸素を酸素と水にまで分解

私たちの体を活性酸素の害から守ってくれる物質を「抗酸化物質」と呼びます。抗酸化物質には、体内で作られるものと体外から取り入れるものがあり、大きく分けて「酵素」「ビタミン」「その他の抗酸化物質」の3つに分類することができます。抗酸化物質は、それぞれが対象とする活性酸素にのみ反応します。そして、それを活性度の低い活性酸素に変え、最終的に酸素と水にまで分解してくれます。

活性酸素に対抗するために、一番頼りになるのが、私たちの体が合成する酵素です。例えば、ミトコンドリアで常に発生する「スーパーオキシドラジカル」に対抗しているのは、「SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)」という酵素です。SODは、一番発生しやすいスーパーオキシドラジカルを消去し、過酸化水素と酸素に分解します。ここで生まれた過酸化水素は、次にカタラーゼという酵素によって消去され、最終的に酸素と水に分解されるのです。

しかし、これらの酵素でも処理しきれずに残ってしまったスーパーオキシドラジカルや過酸化水素は、細胞内の銅や鉄などの金属と結合し、ヒドロキシラジカルという凶暴な活性酸素になってしまいます。その際に対抗するのが、グルタチオンペルオキシダーゼやグルタチオン還元酵素になります。

これら抗酸化酵素と寿命の関係性については、さまざまな研究報告があります。例えば、1980年に米国の研究者が、人やチンパンジー、キツネザルなど10種類以上の霊長類が持っているSODの量を調査したそうです。すると、「人>チンパンジー>ヒヒ>キツネザル>リスザル」の順でSODの量が多く、それぞれの潜在寿命の順と比例しているという結果が出ました。これは、他の酵素においても同様の結果が判明しています。

人間は、40代から体内で作られる酵素の働きが鈍くなっていきます。これは、抗酸化物質をつくり出す細胞自体が活性酸素の攻撃によって壊されていくためと考えられています。それだけに40代以上の人は、普段の食事から積極的に抗酸化物質を取り入れることをおすすめします。(監修:健康管理士一般指導員)


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