緑内障が発症するメカニズムとは? 眼圧が上昇して視神経を圧迫

古代ギリシャの医師であるヒポクラテスは、「瞳が地中海の色になると失明し、しばらくしてもう片目も失われる」という言葉で緑内障を表現しました。日本人の目は、欧米人に比べて色素が濃いため青緑色には見えませんが、地中海の「青緑色」から緑内障と名付けられたといわれています。今回は、失明のリスクが高い緑内障のメカニズムについてみていきます。

目を閉じてまぶたの上から目を触ると、眼球は丸くてある程度の硬さがあることがわかります。このように眼球の丸い形や網膜の張りを保っているのが眼圧です。眼圧とは、眼球の内側から外側へ加えられている力のことで、角膜と水晶体の間を流れている房水の量によって一定に保たれています。しかし、房水の流れが悪くなって前眼房と後眼房の中にたまると、眼圧がどんどん高くなってしまいます。そして、その圧力が視神経乳頭を強く圧迫することによって視神経が傷つき、その結果、徐々に視野が欠ける、失明するなどの障害を招く緑内障が発症するとされています。

房水の通り道が詰まるタイプの緑内障には、「原発閉塞隅角緑内障」「原発開放隅角緑内障」の2つがあります。「原発閉塞隅角緑内障」では、隅角が狭くなったりふさがったりすることによって房水の流れが悪くなり、眼圧が上昇します。生まれつき水晶体の大きさに比べて前眼房が浅くて隅角が狭い人に起こりやすく、さらに加齢にともなって水晶体が硬くなると虹彩が隅角側に押し出されてしまい、房水の通り道をふさいでしまうことも原因として挙げられています。隅角が完全に閉じてしまうと眼圧が一気に上昇し、激しい頭痛や目の痛み、充血、吐き気などの急性発作が現れます。

「原発開放隅角緑内障」では、隅角は空いていても、シュレム管の線維柱帯(房水をろ過するフィルター)が老廃物で詰まってしまうと房水の流れが滞り、眼圧が上昇します。フィルターの目詰まりは徐々に起こるため、房水の流れもじわじわと悪くなっていき、慢性的に眼圧が高い状態が続くことで視神経の障害がゆっくりと進行します。線維柱帯の目詰まりは両目ともに起こりやすいため、片目に緑内障が起きた場合は、もう片方の目にも注が必要です。

緑内障の代表的な症状は、視野が鼻側(左目であれば視野の右側、右目であれば視野の左側)から徐々に欠けていく視野狭窄です。この部分は両目で見ているため、視野が狭くなっても視力はほとんど良好で、気が付きにくいのがまさに「盲点」となっています。(監修:健康管理士一般指導員)


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