- 健康管理!教えて!!2024/12/24 23:32
組織幹細胞が担う役割とは? 特定の細胞に分化し新陳代謝と修復で新しい細胞を産生
私たちの体の中には、個性を持った細胞になる前の、機能や形が完全に決まっていない細胞が存在しています。これを「組織幹細胞」といいます。組織幹細胞は、専門化されていくため、特定の系統の細胞にしか分化していくことはできません。組織幹細胞の種類には、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、神経幹細胞、表皮幹細胞などがあります。では、組織幹細胞はどのような役割を担っているのでしょうか。
組織幹細胞の分裂は、分裂後にできた細胞が分化するか、幹細胞として残るかのどちらかになります。例えば、血液細胞をつくる造血幹細胞が分裂すると、一方は最終的な機能や形を持った赤血球や白血球などになり、もう一方はそのまま造血幹細胞として維持され、分裂を続けます。この仕組みがあることによって、血液細胞が死滅しても残っている造血幹細胞が分裂を続けることで、新たな血液細胞を生み出し、供給することができます。これが、いわゆる新陳代謝です。新陳代謝は、組織幹細胞によって支えられているのです。
また、組織幹細胞には、1種類の細胞だけに分化するものと、さまざまな種類の細胞に分化するものがあります。例えば、肝管細胞からは幹細胞のみが産生されますが、造血幹細胞からは赤血球や白血球、血小板が産生されていきます。
組織幹細胞のもう一つの重要な役割が修復です。組織が損傷すると、その損傷部位の近くに存在している組織幹細胞が、遠くに存在する組織幹細胞を呼び寄せ、組織幹細胞が損傷部位に集結します。集結した組織幹細胞が一丸となって分裂を繰り返すことで、新たな細胞を供給し、損傷部位を修復していきます。例えば、皮膚では、表皮の組織幹細胞である表皮幹細胞が損傷部位の修復を担っています。
このように、組織幹細胞は、特定の細胞に分化して新陳代謝と修復を行い、新しい細胞を生み出すことで生命をつないでいるのです。(監修:健康管理士一般指導員)