疲れると甘いものが欲しくなるのはなぜ? 砂糖に含まれるブドウ糖が脳のエネルギー源に

今年も残すところあとわずかとなり、年末の忙しさから疲れがたまってきている人も多いのではないでしょうか。疲労は、体が健康を維持するために現れる防御反応や兆候のことで、生理現象の一つとされています。健康な状態であれば、栄養を十分に取り、よく寝れば、翌日には元気な状態に回復します。しかし、疲労の度合いが強くなると、病気に近い状態や慢性疲労の状態になってしまいます。

さて、疲れると甘いものが欲しくなるといわれますが、それはなぜなのでしょうか。まずは、疲労の種類についてみてみましょう。疲労には、全身疲労と局所疲労があります。疲労が起こる体の部位別にみると、全身に及ぶ疲労を全身疲労、ある活動をした後に、主に働いた筋肉や器官に現れるものを局所疲労といいます。特に全身疲労の場合は、いろいろな病気による症状の1つとも考えられるので注意が必要です。

また、人間の諸機能を2つの側面から考えると、筋肉作業で起こる疲労を肉体疲労、心理的・精神的緊張を強いられることによって起こる疲労を精神疲労といいます。そして、毎日の疲労が積み重なって、数日から数ヵ月続く状態を慢性疲労、ある活動を始めてから数分から数十分して起きてくる疲労を急性疲労といいます。

こうした疲れを感じたとき、甘いものが欲しくなるのには、脳の機能が関係しているといわれています。例えば、砂糖は、ごはんやパンと同じ炭水化物で、人間に必要な三大栄養素の1つですが、脳のエネルギー源は、砂糖に含まれるブドウ糖だけです。さらに、ごはんやパンは、分子構造が複雑になっているため吸収に時間がかかり、すぐにエネルギーになりません。これに対して砂糖は、単純な構造をしているため、素早く吸収できます。

また、甘いものを食べた後の脳波をみてみると、脳の快感領域が刺激され、ホルモンの一種であるエンドルフィンが分泌されます。このエンドルフィンは、気持ちを落ち着かせたり、免疫細胞を活性化させる作用があります。つまり、疲れたときに甘いものを食べることで、脳の緊張を和らげることができるのです。(監修:健康管理士一般指導員)


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