- 健康管理!教えて!!2025/01/06 23:24
保険適用された新たな肥満症治療薬「ウゴービ」とは? 厳しい要件で特定の医療機関のみで処方
新年あけましておめでとうございます。本年もマイライフニュースをよろしくお願いいたします。さて、最大9連休となったこの年末年始では、忘年会や新年会などが相次ぎ、つい食べ過ぎてしまったという人も多いのではないでしょうか。そんな人が、そろそろ気になってくるのが、いわゆる“正月太り”。特に、肥満気味の人は、これを機に普段の食生活を見直すことをおすすめします。
肥満が進行すると、肥満症のリスクが高まります。肥満症は、BMIが25(kg/m2)以上で、肥満による健康障害が一つ以上ある、または、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断されます。近年では、この肥満症に対する新たな治療薬の開発が進められています。昨年2月22日には、保険適用医薬品として厚生労働省から認可された肥満症治療薬「ウゴービ」の処方が開始されました。医療用医薬品として販売される肥満症治療薬は約30年ぶりとなります。
ウゴービは、2型糖尿病治療薬であるリベルサス剤、オゼンピックと同成分のGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドを、薬剤の量を調節し肥満症の患者にも使用できるようにした治療薬です。GLP-1は、食事が胃の中に入ることで小腸から分泌され、血管を通じて膵臓内に入り込みます。すると、膵臓にあるGLP-1受容体と結合し、インスリンの分泌を促し血糖値を下げる作用があります。しかし、これらの作用は体内のDPP-4という酵素によってすぐに分解されて効果が持続しません。
GLP-1受容体作動薬は、DPP-4の働きを阻害しGLP-1の効果を長時間持続することで、血糖値が上昇した時のみインスリンの分泌量を増やし血糖値を安定させる効果があります。また、GLP-1受容体作動薬は他にも、胃の蠕動運動を抑制し満腹感を持続させる働きや、脳に作用し満腹中枢を刺激することで、食欲を抑制させる作用があり体重減少が期待できます。
ただし、肥満症の中でもウゴービが保険適用で処方されるには、厳しい要件があります。高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法や運動療法を6ヵ月以上行っても十分な効果が得られない人のうち、BMI35(kg/m2)以上、もしくはBMI27(kg/m2)以上であり、かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有することが治療の条件となっています。
使用方法として、ウゴービは週に1回、皮下注射によって投与します。はじめに、0.25mgから投与を開始し、その後は4週間間隔で週1回0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの順で増量していきます。なお、日本人を対象にした臨床試験では68週を超える使用実績がないため、最大投与期間は68週間に制限されています。投与終了後には、リバウンドをしないためにも投与中も合わせて、食事療法や運動療法も並行して行っていく必要があります。また、副作用は吐き気や嘔吐、下痢、便秘などが報告されています。ウゴービは、定めた使用推進ガイドラインに指定されているため、大学病院や総合病院など特定の医療機関でのみ薬が処方されています。(監修:健康管理士一般指導員)