- 健康管理!教えて!!2025/02/10 22:03
赤血球は通常の細胞とは違う? 核を持たずヘモグロビンが90%以上占める
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赤血球は、中央がくぼんだドーナツ状の形をしています。単純な球形ではなくドーナツ状になっているのは、そのほうが表面積を大きくすることができ、酸素の受け渡しに都合がよいからだと考えられています。大きさは、直径が約8μm(1/1000mm)で厚さが約2~3μmです。抹消の毛細血管の直径が5~10μm程度であるので、そのまま通るとするとギリギリになりますが、うまく変形しながら毛細血管の中を流れています。
酸素と直接結合して運搬するのは、赤血球の中の「ヘモグロビン」です。ヘモグロビンは、ヘム鉄という鉄分とグロビンというタンパク質の化合物で、酸素は鉄に結合します。1個の赤血球には何とヘモグロビンが約2億5000万個も含まれていますが、ヘモグロビン1個につき4つの酸素分子と結合できるので、赤血球1個で約10億もの酸素分子を運ぶことができます。
そして、ヘモグロビンには特殊な性質があります。それは、酸素のたくさんある環境(肺静脈の開始部付近など)では酸素と簡単に結合して、酸素が少なくなる(毛細血管付近など)と容易に酸素を分離するというものです。この性質によって、肺でたくさん結合した酸素を末梢の毛細血管で分離し、細胞に届けることができるのです。
また、特殊な性質を持つヘモグロビンを含む赤血球自体にも、不思議な性質があります。それは、細胞であるのに「核」を持たないということです。さらに赤血球は、幹細胞から成熟する際にミトコンドリア(細胞の中で酸素を消費してエネルギーを発生する小器官)を捨て去ります。赤血球内の水分を除くと、実に90%以上をヘモグロビンが占めています。ミトコンドリアを持たない赤血球は、酸素の消費を最低限に抑えることに成功しました。まさに、赤血球は、酸素を“使う”細胞ではなく、“運ぶ”ことに特化した細胞であるといえるでしょう。(監修:健康管理士一般指導員)