血液の巡りが身体にもたらす影響とは？ 細胞を活性化させイキイキとした状態を維持

私たちの身体には、隅々まで血管が張り巡らされており、すべての血管をつなぎ合わせると約10万kmにもなるといわれています。そして、この血管の95～99％を占めているのが毛細血管で、全身の細胞に血液を届けています。では、十分な血液が循環し、全身を巡ることで、身体にはどのような影響をもたらしているのでしょうか。

まず、挙げられるのがエネルギー産生の促進です。エネルギーの産生は、主に細胞内のミトコンドリアで行われます。エネルギー源である糖質・脂質・タンパク質、そしてエネルギー産生時に必要な酸素、酵素、ビタミンB群などを巡らせ、細胞に十分に送り届けることができれば、細胞が活性化し、健康を維持することができます。

タンパク質の合成促進も細胞にとって重要です。例えば、皮膚細胞では、肌のハリや弾力を生むコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質を合成し、美しさを維持しています。また、免疫細胞であれば、ウイルスや細菌などの異物が侵入した際に備えて「抗体」というタンパク質を作り防御体制を整えています。血液が潤滑に巡り、タンパク質の材料であるアミノ酸が細胞に行き届くことも美や健康につながっています。

細胞の正常な働きを保つためには、細胞内が常にきれいでなければなりません。そこで細胞には、エネルギー産生やタンパク質合成の過程でできた老廃物（ゴミ）を処理する働きが備わっています。細胞内に存在する細胞小器官の「リソソーム」は、加水分解酵素を保持しており、古くなったタンパク質や老廃物をまとめて分解処理します。この処理の過程では、水が必要となるため、血液が巡り細胞内に水が十分に存在していることは細胞の活性化につながります。

このように、細胞にとって血液の巡りはライフラインのようなものといえます。血液の巡りによって、細胞に必要な酸素や栄養素が十分に届いているからこそ、身体は美しく健康でいられるのです。（監修：健康管理士一般指導員）