- 健康管理!教えて!!2025/03/12 21:02
加熱調理をすると食材はどう変化する? デンプンは熱変性によって柔らかくなり食べられるように

料理を作る際に、煮る、蒸す、焼く、炒める、揚げるなど、加熱調理をする機会は多いと思います。では、これらの加熱調理をすると、食材はどのように変化するのでしょうか。まず、煮る・蒸すといった調理は、水を媒介として熱を伝える加熱方法です。煮る場合には、食材のまわりに大量の水が存在しています。水の沸点は100℃なので、食材の温度も100℃を超えることはありません。
そのため、煮る調理では高温になりすぎることがなく、長時間加熱することができます。そして、食材の中に水が入り込み内部まで均一に加熱しやすく、また食材の成分は煮汁の中に溶け出しやすくなります。一方、蒸す調理では、煮る場合とは異なり、食材の成分が溶け出すことなく味を閉じ込めることができます。
主にフライパンを使う、焼く・炒める・揚げるなどの調理は、食材の温度が100℃を超えます。水を媒介としないこれらの調理法は、食材によっても異なりますが、表面を150~180℃の温度領域にして調理します。この温度になると、香ばしい香りが生まれて、こんがりとキレイな焼き目が付いてきます。
また、加熱によって食材中の物質が変化することを熱変性といいます。例えば、米や小麦粉のような穀類は、主要成分であるデンプン(糖質)を加熱によって柔らかくしなければ食べることができません。デンプンは、生の状態ではアミロースやアミロペクチンが密にくっつき合っているため硬くて食べられないうえに、消化や吸収も難しい成分です。しかし、デンプンを水と一緒に加熱すると、密着していたアミロースとアミロペクチンの間に隙間ができて、水が入り込み糊状になります。
これをデンプンの「α化(糊化)」といいます。α化したデンプンは柔らかくなり、消化吸収しやすく、美味しいごはんやパンとして食べることができます。しかし、一度α化したデンプンは、低温下に置いておくと再び硬くなります。これを「β化(老化)」といいます。冷蔵庫にごはんやパンを入れておくと硬くなるのはこのためです。(監修:健康管理士一般指導員)