- 健康管理!教えて!!2025/04/24 18:51
自律神経の状態は免疫にも影響を与える? 白血球の働きが交感神経・副交感神経と連動

自律神経には、体を緊張させてエネルギーの消費を担う「交感神経」と、体を休ませてエネルギーの蓄積を担う「副交感神経」の2種類があり、それぞれ相反した働きをしています。近年の研究で、この自律神経の状態が、免疫の役割を担っている白血球と連動していることがわかってきたそうです。
白血球の細胞膜上に交感神経の刺激を受け止めるためのアドレナリン受容体や、副交感神経の刺激を受け止めるためのアセチルコリン受容体を持ち、自律神経と白血球が連動していることが明らかになってきたとのこと。環境(気圧、気温、湿度、季節など)や生活習慣(運動、食生活、睡眠など)の状況によって副交感神経と交感神経との体内調整は変わってきます。どちらかが優位な状態が長く続き、自律神経の調整がうまくいかないと、免疫機能(白血球)は自律神経に連動しているため、体を守る仕組みとして働けなくなってしまうのです。
交感神経が優位の状態が続いた場合、神経伝達物質であるアドレナリンが過剰に分泌され、心臓や血管の収縮、消化管の運動を低下させます。アドレナリンは、白血球のうちの顆粒球にあるアドレナリン受容体に結合して顆粒球を活性化させ、数を増やします。顆粒球は体内に侵入した異物(ウイルスや細菌など)を撃退する免疫細胞ですが、免疫細胞としての役割を終えて消滅する際に活性酸素を発生させます。活性酸素が大量に発生すると、体内の正常な細胞や組織まで破壊してしまいます。その結果、全身の免疫機能が低下し、高血圧や動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、痛風などの生活習慣病や、肩こり、腰痛、ひざ痛、神経痛など様々な病気を招きます。
一方で、副交感神経が優位の状態が長く続くと、神経伝達物質であるアセチルコリンが過剰に分泌され、心臓の拍動を遅くし、唾液の分泌を促します。リンパ球の表面にはアセチルコリン受容体が存在し、それに結合するとリンパ球が活性化されて数が増えます。しかし、副交感神経が優位でリンパ球が必要以上に増えすぎると、害のないわずかな刺激や異物に対しても過敏に反応し、アレルギー反応を起こすことになります。
白血球の顆粒球は体内に侵入した異物を直接撃退します。また、リンパ球はウイルスや細菌などの異物に応じた抗体をつくり、その抗体によって異物を攻撃し、破壊します。抗体は、いわば異物に対する武器のようなものです。顆粒球は主に交感神経の支配を受けて活性化し、逆にリンパ球は副交感神経の支配を受けて活性化しています。このような白血球と自律神経の連動は、多くの場合、体にとって有利な反応ですが、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて免疫機能の調整がうまくいかなくなると、病気を引き起こすことになってしまうのです。(監修:健康管理士一般指導員)