1日のリズムを刻む「体内時計」はいつ作られる?

私たちの体の中には、地球の自転と同じ約24時間を計るための「体内時計」が備わっています。体内時計は、睡眠と覚醒だけでなく、血圧や深部体温、ホルモン分泌のタイミング、内臓の活動などの生理活動をコントロールしています。そして、「夜になると眠くなる」「朝になると目が覚める」「ある程度決まった時間にお腹がすく」といった人間が本来持っている生活リズムを作り出しています。では、この体内時計は、いつ頃に作られるものなのでしょうか。

まず、生まれたばかりの赤ちゃんには、1日約24時間のリズムを刻む体内時計の働きは備わっていません。そのため、「ウルトラディアンリズム」という数十分から数時間周期のリズムを刻んでいるとのこと。生まれて間もない新生児の睡眠と覚醒は、お腹がすいたら目を覚まし、ミルクを飲んで、お腹がいっぱいになると眠くなるという、昼夜の区別がない3時間ほどのサイクルを繰り返しているそうです。

生後1~2ヵ月頃になると徐々に体内時計が形成され始め、3~4ヵ月頃から約25時間のリズムを刻むようになるとされています。ここで体内時計をリセットする手助けをしているのが、母乳やミルクです。赤ちゃんは、眠りを促すメラトニンを3~4ヵ月頃まで作り出すことができないため、母乳やミルクからメラトニンを摂取し、眠りのコントロールをしています。この働きにより、約25時間のサイクルを1日約24時間のリズムにリセットしているそうです。

また、体内時計が完成する3~4ヵ月以前の時期に夜更かしをしたり、眠る時間を変えたりすると、睡眠リズムを作ろうとしている赤ちゃんの妨げになるので注意しましょう。赤ちゃんが寝る少し前から部屋を暗くしたり、朝になったらカーテンを開けて太陽の光を浴びるという規則正しい環境を作ってあげることが大切です。

ちなみに、現代人は、不規則な生活習慣や人工照明などの影響により、生体リズムが乱れ、体内時計に個人差が出てきているそうです。通常は約24時間周期の体内時計ですが、23時間周期や26時間周期になっている人もいると考えられています。これによって、決まった時間に深部体温や血圧が上がらなかったり、集中力が高まらなかったりとさまざまな問題が発生してくるといわれています。(監修:健康管理士一般指導員)


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