食養生の認知度・イメージを調査、食養生は「体に良さそう」と前向きなイメージが最多に

漢方薬を中心とした一般用医薬品と医療用医薬品を販売するクラシエ薬品では、1年間を通して季節や流行に応じた漢方情報を発信している。11月は「食養生の基礎」をテーマに、実態調査(調査対象:全国の20代~60代の男女200名(有効回答数)、調査期間:10月30日、調査方法:インターネットアンケート/クラシエ調べ)の結果についてまとめている。

現代社会では、飲食物をいつでも簡単に手に取ることができるため、冬の季節でも冷たいアイスや飲み物を摂取する機会が増えている。また、飽食や食文化の変化によって、旬の食材を取り入れない食事や加工食品の摂取など、自然の流れに則さない食生活が一般化している。病気を未然に防ぐためには、季節や自分の体に合った食事を摂ることが大切だとか。漢方では、日頃の食材や食事の仕方によって健康を保とうとする「食養生」という考え方があり、食養生を生活に取り入れることによって、病気の予防を目指すのだという。

また、漢方には、食べるものと、薬になるものの源は同じという意味を持つ「薬食同源」という考え方もあり、自分の体調に合わせた食材を摂ることで体の調子を整え、病気になりにくい体質へ導く。

同社が行った調査では、「食養生」を知っていると答えた人は、わずか11%と、日常生活においてまだあまり馴染みのない言葉であることが分かった。一方で、知っていると回答した人の内訳では、20代が最も高く、次いで30代が続くことから、意外にも年齢が低い人が食養生の認知が高い結果となった。

食養生を知っていると回答した人(11%)のうち、食養生が漢方の考え方のひとつであることを知っているか尋ねたところ、86.4%の人が知っていると回答し、漢方とのつながりについては高い認知度であることが分かった。

食養生の基本である漢方では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると考えられている。この3つは、お互いに影響しあっているため、十分かつバランス良くめぐることが大切となる。これらの乱れを改善するために、体全体のバランスを整える=養生が重要になるという。

続いて、「食養生」と聞いて、思いつくイメージを尋ねたところ、「体に良さそう」が最も多い回答となり、言葉からはポジティブなイメージを抱く人が多いことが分かった。次いで、「野菜中心」「質素」「精進料理」のイメージが上位を占めている。また、「お金がかかりそう」「続かなさそう」「料理の際に手間がかかりそう」を回答する人は1割程度であり、食養生に対してネガティブなイメージを持っている人は多くはない様子がうかがえる。

性別では、全体的に見るとランキングの推移に大きな差は現れなかったが、「体に良さそう」のみ、男性が17.5%であるのに対して、女性は22.5%であり、5ptも差が広がる結果となった。

漢方は、「陰陽五行説」と呼ばれる思想に沿った考え方から養生を取り入れている。陰陽五行説は、古代中国に生まれた「陰陽説」と「五行説」の2つの説が結合して成り立っている。

陰陽説とは、「太陽と月」、「春夏と秋冬」といった地球上のあらゆるものが「陰」と「陽」から成り立っている考え方のこと。これは身体にも当てはまり、太陽が出ている間(陽)は積極的に行動し、太陽が沈み暗くなると(陰)睡眠に備えて体を休めることで健康が維持できるように、陰陽のバランスを保つことが大切になる。「陰」と「陽」を示したシンボルマークは陰陽太極図で、白色は「陽」、黒色は「陰」をイメージし、互いに共存している様子を表している。

五行説とは、地球上のあらゆるものは、「木・火・土・金・水」の5つの要素から成り立っていると考える思想のことを指し、身体の働きを五行説に当てはめたものが五臓「肝・心・脾・肺・腎」だとか。5つの要素が、お互いに助け合ったり抑制したりすることによってバランスを保っている。

木=肝は、自律神経や情緒などをコントロールする臓腑で、気を巡らし、血を蓄える。火=心は、精神や意識をコントロールし、血液循環を支える役割を担っている。土=脾は、食事を消化吸収して気血水を作り出し、四肢や筋肉などに影響を与える。金=肺は、全身の気と呼吸をコントロールし、水分代謝にも影響を与える。水=腎は、人の成長や発育に関わりのある臓腑で、生まれながらに持っているエネルギーを蓄えている。

約3000年前の中国には、「食医」と呼ばれた食物で病気を治療する医者がいた。他にも薬で治す「疾医(内科医)」、手術で治す「傷医(外科医)」、動物を診る「獣医」とよばれる医者がおり、そのうち最も高い位で重要とされていた医者が食医であったといわれている。中国の経書の一つ「周礼」では、日々の食事を通して皇帝の健康管理をすることで、病気と健康の間の状態である「未病」を発見したり、病気の治療や予防を行っていたことが書かれている。このように、食養生の考え方は昔から存在しており、身近に行うことができる健康管理法なのだという。


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