リンナイが冷え・ヒートショックに関する都道府県意識調査、毎日湯船は6割、今年のお風呂好き県は愛知県に

今年も冬本番が迫り、冷えが気になる季節となった。湯船が恋しくなるが、入浴方法を誤ると思わぬ事故を引き起こすことがある。今回、リンナイは、お風呂ドクターの早坂信哉先生に監修してもらい、全国47都道府県の2350名を対象に、冷え・ヒートショックに関する意識調査を実施し、入浴の実態について調査した(調査名:熱と暮らし通信 冷え・ヒートショックに関する都道府県意識調査、調査時期:10月19日~10月22日、調査方法:インターネット調査、対象者:都道府県別 計2350名、20~60代男女 自宅に浴槽があり、冬場に週1回以上湯船に浸かる)。

全国の2350名に冬の時期に多い身体の不調を聞いた。その結果、最も多い回答は「冷え(46%)」、続いて「肩こり(24%)」だった。「冷え」に悩む割合を男女別で見ると、男性3割、女性6割だった。地域別では、山梨(64%)が最も多く、続いて滋賀(62%)、そして福井、長野、岐阜、長崎(56%)が同率3位となった。また、冷え性の自覚について、「とてもそう思う」「ややそう思う」の割合が、男性については若い世代ほど高まる傾向だった。

早坂先生は、「女性を中心に多くの人が冷えに悩まされていることがわかった。比較的暖かい関西や九州の地域でもその割合は高く、寒い地域だけでなく、全国共通の悩みだった。また、一般的に筋肉量が少ない女性に多い冷え性だが、これまでの調査と異なる傾向として、若い男性に冷え性の人が一定数見られた。これは、新たな知見といえ、冷え性はすべての性別、年代での悩みであることがわかった」とコメントしている。

冷えに悩む人に、1日の中で冷えを感じる時間帯を聞いた。その結果、最も多い回答は「就寝前(60%)」、続いて「起床時(51%)」だった。また、冷えによってつらいと感じる症状を聞くと、最も多い回答は「眠れない(43%)」だった。

早坂先生は、「冷えを感じやすい時間は就寝前が最も多く、つらい症状として最も多いのが『眠れない』であるという結果だった。この結果には医学的理由がある。人は手足から熱を放散し体温が下がっていくと寝付くことができる。しかし、冷え性の人は手足の血流が低下し、手足が冷えて熱を放散することができないため、結果として寝付くことができなくなる。そのため、冷え性と『眠れない』は強く関わっており、調査でもその結果が現れた。冷えを改善すれば、睡眠にも良い効果が期待できる」とコメントしている。

冷えに悩む人にその対策方法を聞いた。その結果、最も多い回答は「お鍋やスープなど温かいものを食べる(54%)」、続いて「靴下をはいて寝る(39%)」、「入浴時、いつもより長くお風呂に浸かる(37%)」だった。また、その対策方法に関する悩みを聞いたところ、「効果が一時的である(52%)」が最も多い回答だった。

早坂先生は、「冷えの対策として、温かいものを食べたり、靴下をはいて寝たり、長風呂をするなどの工夫をしていた。お鍋やスープなど温かい食事は、冷えに対して一定の効果が期待できる。靴下をはいて寝るのは、足からの体温の放散を妨げることがあり、逆効果になることがある。ふとんに入ったら脱ぐようにしよう。長風呂はのぼせのリスクが高まる。また、熱すぎる湯での入浴は湯上りの発汗が多くなり、身体の温かさが長続きしない。せっかく対策しても半数以上の人が『効果が一時的である』と感じているようだ。冷えには入浴が一番おすすめ。正しい入浴法を理解して、冷えに負けない身体つくりをしてほしい」とコメントしている。

身体の冷えと合わせて気にしたい冬の「ヒートショック」。自宅で冷えが気になる場所について聞いた。その結果、最も多い回答は「脱衣所・洗面室(56%)」、続いて「トイレ(38%)」、「浴室(34%)」だった。また、「ヒートショック」について、「よく知っている(16%)」「ある程度知っている(49%)」の回答を合わせて7割が認知していた。地域別では、福島(78%)、栃木・長野(76%)、山梨(74%)の認知度が高い結果となった。

早坂先生は、「『ヒートショック』とは、特にリビングから脱衣室への移動などで起こる急な気温の変化によって交感神経が刺激されて血圧が乱高下し、その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾病が起こることをいう。最近、メディアで取り上げられることも多くなり、人々の認知度が上がってきた。特に、福島、栃木、長野など比較的寒い地域での認知度が高いことがわかったが、逆に香川、福岡など比較的温かい地域での認知度はまだ低いようだ。冷えた身体を温めようと、高温で長時間の入浴をすると身体に負担をかけることになる。温度差の大きい日本の住宅事情を考えると、冬は全国で『ヒートショック』の可能性がある。この機会にぜひ『ヒートショック』のことを知ってもらいたい」とコメントしている。

冬の時期の入浴頻度を聞いた。その結果、「毎日(58%)」が最も多く、地域別では、多い順に愛知(72%)、続いて島根(70%)だった。湯船につかる理由は、「リラックス・ストレス緩和のため(57%)」が最も多く、続いて「身体の冷えをとるため(43%)」。

早坂先生は、「全国平均すると6割が毎日湯船に入っていることがわかった。お風呂の医学研究者としてはとても嬉しいこと。毎日湯船に入ることは、将来の介護予防につながる他、メンタル面にも良い効果があるなどの研究結果がある。可能であれば将来の健康づくりのためにも毎日湯船に入ってもらいたい。気温の高い沖縄で湯船に入る人の割合が低いことは以前から知られていたが、今回は富山、石川も低く、北海道が最下位なのは意外だった。今後その理由の詳細な調査が必要かもしれない」とコメントしている。

冬の時期の入浴方法を聞いた。その結果、入浴温度は40℃(29%)、入浴時間は10分~14分(31%)が最も多い回答だった。平均値はそれぞれ40.9℃、15.3分だった。地域別の平均値を比較すると、入浴温度は宮城が最も高い41.4℃、入浴時間は山梨が最も長い20.3分だった。

早坂先生は、「入浴温度40.9℃、入浴時間15.3分と、この時期としては理想的な数値だった。しかし、宮城の41.4℃を筆頭にまだまだ湯温の高いところも多い結果となった。また、山梨のように熱風呂かつ長風呂の県もあった。温度は40℃、熱くても41℃まで、入浴時間は10分、長くても15分程度が望ましく、それ以上長いとのぼせの危険がある。のぼせとは医学的には熱中症と考えられ注意が必要となる。のぼせの予防のため、じんわり発汗したら一旦湯船から出るようにしてほしい」とコメントしている。

入浴せずに寝てしまう、いわゆる「風呂キャンセル」の経験について聞いた。その結果、3割が「よくある(8%)」「たまにある(22%)」だった。その理由について、男性は「お風呂に入るのが面倒だから(43%)」、女性は「疲れてお風呂に入る元気がないから(53%)」が最も多い回答だった。「疲れてお風呂に入る元気がないから(男性38%、女性53%)」の回答は男女に差がみられた。

早坂先生は、「最近SNSでは『風呂キャンセル界隈』というキーワードが話題となっている。何らかの理由でお風呂に入らず寝てしまうことをいうが、3割もの人に経験があるとの回答で、意外に多いことがわかった。その理由は『面倒』『疲れて元気がない』とのことだった。しかし、お風呂は単に汚れを落とすだけでなく、身体の疲れを取る効果や、心理面でのストレス改善効果も期待でき、特に入浴中に腹式深呼吸に集中すること(マインドフロネス)を行うとリラックスできる。心身が疲れた時こそ入浴をおすすめする。入浴する気力が起きないことが続く場合は、メンタルクリニックを受診してほしい」とコメントしている。

入浴中の過ごし方について聞いた。その結果、最も多い回答は「何もしない(53%)」、続いて「スマートフォンやタブレットを使用する(13%)」だった。「スマートフォンやタブレットを使用する」の回答者を年代別で見ると、若い世代ほど高い結果だった。平均入浴時間を比較すると、使用者は25.0分、非使用者は13.8分だった。

早坂先生は、「私たちは、日常生活でスマートフォン(以下、スマホ)を絶えず閲覧し情報過多の環境にいて、脳が疲れている。入浴中は何もせず、ぼんやりすることが脳の疲労を取るためには重要。半数以上の人が『何もしない』と回答され、入浴中の時間の過ごし方としては良いことだと感じている。一方、20代を中心にスマホを持ち込んでいる人が多くなり、その使用者は平均入浴時間が25.0分と10分以上も長くなっている。動画を見たりSNSに没頭したりして、あっという間に時間が過ぎてしまうのでだろう。長時間の入浴は、のぼせ(熱中症)になる危険があるだけでなく、脱水が進み血圧も下がるため、『谷型ヒートショック』が起きやすくなる。スマホを持ち込む場合はタイマーをセットして、入浴時間を長くて15分までにとどめる工夫をするとよい」とコメントしていた。


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