- マイライフストーリー2025/04/01 22:15
東大が食事の質および肥満との関連について発表

不健康な食生活と肥満は、世界的に主要な公衆衛生上の課題となっている。したがって、食習慣や肥満を形作る要因をより良く理解することが必要となってきている。このような流れの中で、食に対する動機づけ、すなわち、個々人が食品を摂取する際に考慮する理由や意味づけに注目が集まってきた。「食」とは、社会の中で営まれる社会的な行為であり、人々の食物摂取は、空腹といった生理学的な動機づけだけでなく、嗜好や利便性、社会的規範といったさまざまな動機づけによってなされるものであるから。また、最近になって登場した概念として、食にまつわるリテラシーがある。これは、「食を計画、管理、選択、準備、摂取するために必要な、相互に関連した知識、スキル、行動の集まり」のことを指す。
食にまつわるリテラシーおよび食に対する動機づけが、食事の質および肥満とどのように関連するかについての検討は、これまで部分的にしか行われてこなかった。そこで、食にまつわるリテラシーと食に対する動機づけを網羅的に調べ、それらと食事の質および肥満との関連を包括的に検討することを目的とした研究が、東京大学で行われた。
東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野の村上健太郎教授、篠崎奈々助教、佐々木敏東京大学名誉教授らによる研究グループは、20~69歳の日本人1055人を対象として、食にまつわるリテラシー(8項目)と食に対する動機づけ(15項目)を幅広く調べ、食事の質との関連を示す項目(調理技術、健康的な間食スタイル、栄養成分表示の活用、健全な食費、自然への配慮重視、利便性軽視、快楽軽視)は、肥満との関連を示す項目(食に関する誘惑に抵抗する力が弱いこと、日々の食事計画を立てないこと、嗜好重視、健康軽視)と大きく異なることを明らかにした。
同研究は、食にまつわるリテラシーと食に対する動機づけを網羅的に調べ、それらと食事の質および肥満との関連を包括的に検討した世界で初めての研究となる。同研究の成果は、世界的な公衆衛生課題である不健康な食事と肥満の蔓延に対する有効な戦略を立てるうえで重要な科学的根拠となることが期待される。