- Cosme&Beauty2023/01/19 16:59
富士経済、機能性化粧品の国内市場の調査、2023年は前年比2.7%増の2兆4026億円と予測
総合マーケティングビジネスの富士経済は、“おうち美容”で生じたスペシャルケアアイテムの需要や、外出機会の増加による美白意識の高まりに加え、低迷していたベースメイクの回復が期待される機能性化粧品の国内市場を調査・分析した。その結果を「機能性化粧品マーケティング要覧 2022-2023」にまとめた。トピックスとして、2023年予測(前年比)では、外出機会の増加で美白ケアの意識が向上。コロナ禍で苦戦したベースメイクが回復に向かうことから、機能性化粧品市場は2兆4026億円(2.7%増)と予測する。高機能化が進み、アンチエイジングや肌荒れなどのニーズをカバーする商品が好調なホワイトニング(スキンケア)は、2947億円(3.2%増)に達する見通しだ。
この調査では、モイスチャー、ホワイトニング、アンチエイジング、敏感肌、アクネ対応などの機能を訴求する商品を機能性化粧品と定義し、訴求機能別の市場動向を分析するとともに注目商品の動向についてまとめた。
機能性化粧品の国内市場では、薬機法で定める化粧品の効能の範囲と、広く認知されているホワイトニング、スリミングなどの機能を訴求する化粧品を機能性化粧品と定義した。市場は新型コロナウイルス感染症流行の影響による外出自粛やインバウンド需要の消失によって、2020年に大きく縮小したが、その後回復に向かっている。
2021年はマスク生活の長期化によって、毛穴目立ちや角質の蓄積をケアするニーズが高まり、皮脂・毛穴ケア(モイスチャーに含む)のスキンケアや、モイスチャー機能を持つリップクリーム、コロナ禍の“おうち美容”としてヘアケアのスペシャルアイテムなどの需要が増えたことから、市場は前年比3.3%増となった。一方、通年でコロナ対応が要されたことで伸びを抑制される品目も多かった。
2022年は、消費者の外出機会増加や、夏場は猛暑日が多くなったことで、美白スキンケアに対する意識が高まったほか、サンスクリーンの需要が増加した。また、商業施設の営業状況改善や店頭でのカウンセリング活動の制限緩和などの好材料もあり、市場は前年比2.5%増が見込まれる。コロナ禍で苦戦が続いていたベースメイクも、マスクに付着しにくいマスクプルーフを訴求したファンデーションが活発に発売されたことで前年を上回るとみられる。
ホワイトニング(スキンケア)は、2021年は外出機会が前年に比べ増加し消費者の美白マインドが高まったことや、ホワイトニングとしわ改善機能を併せ持つ商品が活発に投入されたことで市場は二桁増となった。2022年は前年に比べさらに外出機会が増加し、年間を通して美白ケアを求める消費者が増加したほか、ホワイトニング機能に加え、アンチエイジングや肌荒れなど、複合的な肌悩みに対応することを訴求した商品が増加しており、市場は前年比3.1%増が見込まれる。ホワイトニング化粧品は、アンチエイジングや毛穴ケアなどの機能を持った高機能商品の需要が高まっており、2023年も高機能化が進むことで市場拡大が予想される。アジア圏ではホワイトニング機能の需要が依然として高いことから、インバウンド需要の回復が市場拡大に寄与することが期待される。
モイスチャー(ベースメイク)は、コロナ禍での外出機会減少やインバウンド需要の消失により市場は2020年に大幅減となり、2021年もマスク生活の継続によってベースメイク自体の需要が回復しなかったため、市場は前年を下回った。2022年はマスク着用を前提とした商品のラインアップが増加し、色移りしにくいマスクプルーフを訴求したメイクアップベースやファンデーション、マスク着用時に自然な立体感を出せるハイライトなどの需要が増加したことで市場は前年比3.8%増が見込まれ、3年ぶりに拡大するとみられる。今後マスク着用が不要となった際はベースメイク市場の回復とともに、モイスチャー市場も拡大していくとみられる。トレンドである自然なつや肌を叶える、うるおいや透明感を与えるアイテムの需要が旺盛であり、今後は商品投入が活発化することにより、ライトメイク層の需要獲得が期待される。
ダメージケア(ヘアケア)は、2021年は外出機会の増加によって、ヘアカラーやヘアアイロンによるダメージのケアニーズが増加したことに加え、コロナ禍の“おうち美容”で広がったスペシャルケアアイテムの使用が習慣化したことから市場は拡大した。2022年はスペシャルケアアイテムが引き続き好調であることに加え、ダブルカラーやインナーカラーといったヘアカラーのトレンドを受けて、カラーケアを訴求した商品の投入が活発であることから市場は前年比6.3%増が見込まれる。デイリーユースの商品は将来的に使用者の減少が予想されるため、購入単価の維持・引き上げが課題となっている。メーカーは今後も配合成分や補修メカニズムで差別化しやすいダメージケア機能へ注力していくとみられ、市場の活性化が期待される。またスペシャルケアアイテムは剤型や訴求が多様化しており、今後も使用層が広がる余地があることから市場拡大に寄与するとみられる。
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2022年8月~11月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF+データ版セット:20万9000円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)