富士経済、料飲店や宿泊宴会場など8カテゴリー67業態の外食産業の国内市場調査、2023年市場見込は居酒屋・炉端焼が1兆200億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、やきとりや串カツ・串揚げなどの専門型居酒屋を中心に回復が続く料飲店、イートイン需要の回復により中華FRなどが好調なファミリーレストランなど外食産業の国内市場を調査した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2023 No.2にまとめた。その結果、2023年市場見込(前年比)では、人流回復によって、やきとりや串カツ・串揚げなどの専門型居酒屋を中心に拡大した居酒屋・炉端焼が1兆200億円(22.2%増)と予測する。インバウンド需要の回復、食事サービスの充実化による客単価アップから拡大したホテルは、2兆4330億円(8.8%増)と予測した。

この調査では、料飲店、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、宿泊宴会場の8カテゴリー67業態の市場について現状を捉え、将来を展望した。なお、ファストフードやテイクアウトなど、6カテゴリー63業態の市場調査結果については「同 No.1」でまとめ、概要を5月30日に発表した。

居酒屋・炉端焼は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2021年の市場は縮小した。

2022年は、繁華街やビジネス街の人流回復を受けて市場は拡大した。特にやきとり専門店や串カツ・串揚げ専門店などの専門店型居酒屋は、コンセプトが明確な点が受け入れられ、好調となった。

2023年は新型コロナの5類引き下げによる消費者マインドの変化や、やきとり専門店などの専門型居酒屋を中心に回復が続くことから市場は拡大するとみられる。しかし、2020年以降に店舗数を大きく減らしたことや、大規模な宴会需要や0次会・2次会以降の需要回復の遅れ、また、人手不足による席稼働率の低下などから市場は2019年比6割強の規模にとどまるとみられる。

ホテルの2020年は旅行、ビジネス需要ともに大幅減少し、市場は縮小した。2021年は全国旅行支援策の実施が貢献したものの、インバウンド需要の消失によるリゾートホテルの回復遅れやシティホテルにおける宴会需要の低迷から微増に留まった。

2022年は在宅勤務の定着などによりビジネス需要の回復が鈍かったものの、外国人観光客の受け入れ再開や旅行支援制度などを受けて観光需要が急増したことからロケーションやランクを問わず、客室稼働率が高まったことから、市場は拡大した。

2023年はインバウンド需要により、客室稼働率の回復が進み、宴会を含む食事需要が増えるとみられる。また、国内外の富裕層の取り込みに向けて食事サービスの充実化が進み、客単価の上昇が進むため、市場拡大が予想される。

コーヒーショップの2020年は新型コロナ流行の影響を受けたほか、4月から改正健康増進法が全面施行されたことで喫煙可能な店舗が減ったため、客数が大幅に減少し、市場は大幅に縮小した。

2022年は人流の回復に伴うイートイン需要が顕著となり、上位チェーンのほとんどが好調だったことから、市場は拡大した。

2023年は人流がさらに回復することでランチやアイドルタイムに加え、モーニングやディナーといった時間帯の需要増加が進むほか、価格改定やインバウンド需要の増加も市場に寄与するとみられ、市場は拡大が予想される。

韓国料理の2020年は出店している商業施設の休業や時短営業などの影響から市場は縮小したが、2021年は若年層を中心に韓国料理への関心が高まったことなどからプラスとなった。

2022年は需要が定着しつつあることや、リフレッシュ効果などから辛さのあるメニューが好評なこと、キムチなどの発酵食品や野菜を豊富に使用したメニューが多いためコロナ禍で高まった健康ニーズを捉えたことにより好調だった。また、アルコールを伴うディナー需要の大きい路面店の客数回復もあり、市場は大幅に拡大した。

2023年は若年層をはじめ韓国料理の人気が高止まりしているとともに、上位チェーン以外でも大手外食企業による出店増加などがみられ市場が活発化しており、拡大が続くと予想される。

料飲店の2022年はまん延防止等重点措置が解除され、少人数グループを中心に客数が回復に向かったことから、やきとり専門店や串カツ・串揚げ専門店などを中心に好調だった。2023年は大規模宴会や0次会・2次会以降の需要回復の遅れ、人手不足による席稼働率の低下が懸念されるが、客数の回復が顕著となっており、やきとりや串カツ・串揚げ専門店などの専門型居酒屋を中心に、市場拡大が予想される。

ファミリーレストランの2022年は前年まで各社の注力によって成長をみせたテイクアウトとデリバリーが一服感をみせた一方、人流の回復に伴ってイートイン需要が増えた。また、価格改定によって多くのチェーンでは客単価が上昇したため、市場は前年比プラスとなった。2023年はイートイン需要の回復、価格改定やメニュー刷新による客単価の上昇がさらに進むほか、すかいらーくレストランツが中華FRにおいて飲茶の新業態を展開するなど、新たな需要獲得に向けた取り組みもあり、市場は拡大するとみられる。

喫茶の2022年は前年以上にランチ、アイドルタイムの需要回復が進んだことに加え、通勤・通学前後のモーニングやディナーの需要回復もみられたことで市場は前年比プラスとなった。2023年はさらなる客数の回復が進んでいるほか、前年からの価格改定によって客単価の上昇もみられる。また、モーニングのメニュー拡充による需要拡大も進んでおり、市場は続伸するとみられる。

西洋料理の2022年はイタリア料理、フランス料理がランチ、ディナーの客数増加から好調となったほか、他の多くの業態も前年を上回り、市場は拡大した。2023年は大規模パーティーの再開に加え、インバウンド需要の獲得が期待されるほか、参入各社が期間限定メニューの投入などによって単価アップの取り組みを強化しており、市場は引き続き拡大が予想される。

日本料理の2022年はディナーでの客数増加やインバウンド需要が回復に向かったほか、食材費や人件費などのコスト上昇に対応したメニューの価格改定により、市場は大幅に回復した。2023年はインバウンド需要の回復が進んでいるほか、前年の価格改定による客単価アップに加え、すきやき・しゃぶしゃぶでオプションメニュー展開による単価アップを図る施策がみられるなど、市場は拡大が続くと予想される。

東洋料理の2022年は焼肉料理が焼肉ファストフード形式の「焼肉ライク」やセルフ飲み放題を導入した「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」など新興チェーンの台頭によって、ハレの日のみならず日常使いでの需要獲得で利用シーンが広がるなど好調となった。また、韓国料理も若年層を中心に支持され、ブームから定着に至るなど、市場は拡大した。2023年も活性化が続く焼肉料理に加え、アルコール需要の掘り起こしを進める餃子専門店が料飲店などからの需要流入によって大幅に伸び、市場は拡大するとみられる。

エスニック料理の2022年はコロナ禍での経営難などによって撤退を余儀なくされた店舗もあったが、都市部やオフィス街を中心とする人流回復によって、市場はプラスとなった。2023年は通常営業によるディナー回復に加え宴会や会食利用、グループでの来店増加や、上位企業では繁華街やオフィス街への新規出店もみられ、市場拡大が予想される。

宿泊宴会場の2022年はホテルや旅館では外国人観光客の受け入れ再開など観光需要の増加に加え、結婚式場・宴会場においても挙式件数が増えたことによって、市場は大幅に回復した。2023年はインバウンド需要の更なる回復によって、ホテルや旅館はロケーションやランクを問わず客室稼働率が高まり、好調が予想される。また、コロナ禍以前と比較して富裕層の訪日が増加していることから、ホテルでは富裕層取り込みや他施設との差別化を目的に食事サービスの強化が活発化しているため、市場は拡大が予想される。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]3月~4月
[小売価格]
書籍版:12万1000円
書籍/PDF+データ版セット:16万5000円
ネットワークパッケージ版:24万2000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp/


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