北海道十勝地域×東京台東区・墨田区が連携、ジビエの普及活動として日本料理店「中坂下 ちそう」オーナー大里利光氏が十勝産エゾ鹿肉を活用したメニューを開発

　北海道十勝地域×東京台東区・墨田区連携 関係人口創出プロジェクトの一環として、日本料理店「中坂下 ちそう」オーナー兼公益社団法人 日本料理研究会 師範の大里利光氏が、約1年、試行錯誤しながら食材理解に努め十勝産エゾ鹿肉を活用した和食メニューを開発。11月30日に「中坂下 ちそう」（台東区上野1－6－4）で試食会を開催した。

　東京都台東区・墨田区と北海道十勝地域（16町2村）は、関係人口創出プロジェクトの一環として、十勝地域で捕獲されるエゾ鹿の肉を活用し、十勝産品への新たな価値の創出を目指す取り組みを進めている。北海道十勝地域では近年、エゾシカが増えすぎてしまったことによって、生態系への影響や農林業被害など、様々な問題を抱えているという。

　そこで、東京都台東区・墨田区の「江戸のチカラ」を活かし、昨今人気の「ジビエ料理」として、和食メニューを開発し、“十勝産エゾ鹿肉”の認知および飲食店による取り扱い拡大を目指すべく、飲食関係者に向けて11月30日に十勝産エゾ鹿肉を活用した和食メニューの試食会を開催した。

　試食会では、日本料理店「中坂下 ちそう」オーナーであり公益社団法人 日本料理研究会 師範の大里利光氏が約1年、試行錯誤しながら食材理解に努め開発した3品を提供した。

　今回、大里氏が開発したメニューは、「エゾ鹿肉」を“普段の食卓で使ってもらいたい”という想いが込められているとのこと。

　「鹿肉の割粉揚げ 蒸しキャベツのマッシュポテト和え 牛蒡のホイロ 香草割ソース」は、鹿の前足肉を使ったメニュー。「前足は身が少ないため、これまで食べられてこなかった部位となっている。また前足の細かい筋を切り、卵白と片栗粉で下処理を行った。さらに下味には中華料理の『漿（チャン）』という技法を使った。これによって鹿肉がジューシーで柔らかくなった」と、下処理および下味をしっかり付けたことで、肉の臭味やパサパサ感をなくしたのだという。「付け合わせには、マッシュポテトと牛蒡のホイロ、ローズマリーを揚げたもので、森のイメージを演出した」と、メニューの特長について語ってくれた。

　「鹿前足の黒酢ソース 彩り野菜」では、「湯通しした鹿肉をコーラと水を併せた中に入れ、アルミホイルで蓋をして煮込んだ。ソースは中国と日本の黒酢を使っている」と、本格中華の味わいが堪能できる鹿肉メニューとのこと。「鹿肉は、他の肉に比べて日持ちが良いので、下処理して冷蔵庫に入れて保存することもできる」と、扱いやすい食材なのだと教えてくれた。

　「鹿肉の草なべ 柚子胡椒・大根おろし」は、市販のめんつゆと和風顆粒だしで作れる鍋とのこと。「鹿肉のシンタマの部位を使った鍋料理。鹿脂も下処理して鍋で煮込んだ」と、脂身も味わえるメニューとなっている。「鹿脂は様々な料理に活用できる」と、ラードの代用など重宝できると述べていた。

　この他、即興で鹿焼肉も提供。「『漿』による下味を付けておくことで、すき焼き風に鹿肉を焼いても美味しく楽しめる」と、「漿」することで、鹿肉独特の臭味を感じることなく味わうことができると教えてくれた。

　東京台東区・墨田区と北海道十勝地域（16町2村）は、11月18日～12月6日の期間「たいとう・すみだ 十勝ウィーク」を開催している。同イベントでは、台東区・墨田区の飲食店が腕を振るって作る、十勝の豊かな食材を使った特別メニューを楽しめる他、十勝の旬の食材や選りすぐりの特産品を販売している。また、十勝の生産者が両区を訪れ、十勝食材の美味しい食べ方を紹介するなど、両地域の住民が一緒に楽しむ「クッキング交流会」も開催した。東京にいながら、北海道十勝地域の豊かな「食」を、“食べて・一緒に楽しむ”ことができる、両地域がつながるイベントになっている。

　「関係人口」とは、特定の地域に継続的に多様な形で関わる人のことをいい、令和2年度からスタートした「北海道十勝地域×東京台東区・墨田区連携～大地のタカラ×江戸のチカラ～ 関係人口創出プロジェクト」では、北海道十勝地域および東京都台東区・墨田区の「人」や「企業等」が、一過性ではない「深い交流」を持続的に展開する環境を創り出すことによって、両地域の「関係人口」の創出・拡大を目指し、様々なイベントや行事等を行っている。

北海道十勝地域× 東京台東区・墨田区連携～大地のタカラ× 江戸のチカラ～ 関係人口創出プロジェクト＝https://tokachi-taito-sumida.com/