キリン、ビールの裾野を広げていくために「一番搾り」で限定品・「スプリングバレー」で新商品を発売

キリンビールは8月28日、2023年下期ビール新商品の発表会を実施した。10月に予定されている酒税改正にともない関心が高まっているビール類の市場概況に加えビールカテゴリの新商品について説明した。

「コロナ5類移行にともなう消費マインドの高まりや、人や社会のつながりの大切さ、持続可能な社会の実現に向けた意識の浸透によって、価値を感じるものへの消費意欲が上昇している。また、酒税改正による“ビール”への注目や、相次ぐ値上げによる節約志向、円安の進行・原材料高によって、多様な価値観が広がるなど、さまざまな外部環境の変化にともない、消費マインドの変化が進んでいる」と、キリンビール 執行役員マーケティング部長 山田雄一氏が社会・酒類市場を取り巻く環境変化についてまとめる。

「今年上期は、『一番搾り』、『一番搾り 糖質ゼロ』をリニューアル発売。消費者のインサイトを捉えたマーケティング戦略と、コロナ5類移行にともなう消費マインドの向上によって、好調に推移している」と、「一番搾り」計の1～7月前年比は7％増、「一番搾り 糖質ゼロ」はリニューアル販促開始以降の7月前年比約3割増なのだと目を細める。「今年の上期では、クラフトビールカテゴリ創造に向け、包括的な取り組みを実施した。それぞれの消費者接点で成果を創出。クラフトビールの魅力を広めるため、全国の13ブルワリーと連携した初のイベントを開催した。クラフト飲用体験の場を提供することで、高い満足度を得られ、クラフト未経験者も多く参加した。『スプリングバレー』コラボレーションショップを展開し、飲食店ごとの特色を生かしたペアリングを提案した。『スプリングバレー サマークラフトエール＜香＞』は、香り高さなどが評価され、対計画比約4割増となっている。ブランド初の3種展開による多様な味わいや香りのラインアップが好評を得ている」と、クラフトビールという新たな成長エンジンの育成も図ったと訴える。

「今後は、段階的に酒税改正が行われ、“ビール”への注目が高まる。そして、2026年の酒税一本化後も複数のカテゴリーに分かれると予測しブランド力強化を図っていく」と、環境変化への影響について説明する。「2020年の酒税改正以降、“ビール”は伸長傾向にあり、今後も成長が期待される。成長に向けて、『ビールの裾野』をさらに広げていくことが重要と思われる。“ビール”に注目が集まる今だからこそ、今までの延長線上ではなく、目まぐるしい環境変化の中で消費者のインサイトを捉えて、新たな提案を続けていく」と、愚直に取り組むことで、さらに「ビールの裾野」を広げていくのだと語っていた。

「今年下期においては、ビールがより身近に感じられる世界を提案するべく、本当においしいもの（価値を感じるもの）への消費マインドに対し、強固なブランド体系の構築を図る。多様な価値観で楽しむことへの消費マインドに対しては、新たな成長エンジンの育成を図っていく」と、ビールの裾野を広げて、消費者にとって、“ビール”がより身近に感じられるものにしていくとのこと。「『一番搾り』ブランドでは、おいしいビールがもたらすうれしさを続々と提案し、日本を明るく幸せにしたいとの想いを届けるべく、『一番搾り やわらか仕立て』を期間限定発売する。『一番搾り やわらか仕立て』は、小麦麦芽使用によるやわらかで繊細な口当たりとなっている。また、澄んだ麦のうまみを引き出す『一番搾り製法』を採用した。フルーティーな香りが特長のホップを使用している」と、「一番搾り」から、今の時代の消費者ニーズに合った新しいおいしさを提案していくと意気込む。

「『一番搾り とれたてホップ生ビール』も限定発売する。『一番搾り とれたてホップ生ビール』は、とれたての遠野産ホップによる“旬のおいしさ”が特長となっている。今年で発売20年目を迎え、累計販売本数3.5億本を突破した」と、「ホップにこだわってつくったおいしさ」と、「季節に合った今だけの限定感」で選ばれている限定商品なのだと力説する。「当社が岩手県遠野市とホップの契約栽培を始めてから今年で60周年となる。これからも日本産ホップの安定調達と生産地域の活性化に貢献していく」と、日本産ホップに関する取り組みについて言及してくれた。

「ビール類市場におけるクラフトビール構成比は、2022年約1.6％（キリン調べ 2021年は約1.5％）に拡大。さらなる市場拡大に向けて、消費者接点を統合した包括的なアプローチを実施し、クラフトビールならではの“多様なおいしさ”と“新しい楽しみ方”を提案していく」とのこと。「消費者のクラフトビールに対するニーズは“未体験のおいしさ”や“多様なおいしさ”。『スプリングバレー』を通してビールの多様なおいしさと新しい楽しみ方を提案していく」と、新たな成長エンジンとして「スプリングバレー」ブランドを育成していくと述べる。

「『スプリングバレー JAPAN ALE＜香＞』を10月24日に発売する。当社開発の日本産ホップ品種『ムラカミセブン』を一部使用した当社初の缶商品となる。中味は、これまでのクラフトビール開発知見を活かした味覚設計となっている。華やかな香りが感じられる海外産ホップを使用しながら、あえて『日本産ホップ』を一部組み合わせることで、互いの持つ香りの良さを引き出して調和。柑橘のような爽やかな香りを実現している」と、希少な日本産ホップを一部使用し、爽やかな香りが楽しめるおいしさを実現したという。「香り高く飲みやすいおいしさの『スプリングバレー JAPAN ALE＜香＞』を通じて、『香りのあるビールって、こんなにおいしいんだ』という新たな発見と感動を創っていく」と、ビールに対して“香りを楽しめる”といった潜在的なニーズを掘り起こしていきたい考えを示した。

「今年下期も“ビール”カテゴリに注力し、ビール市場のさらなる活性化を目指すべく、『一番搾り』ブランド計では、販売数量約2880万ケース、前年比3.5％増を見込む。『スプリングバレー』ブランド計では、販売数量約230万ケース、前年比36.5％増を見込む」と、消費者がビールをより身近に感じ、「ビールの新しい景色」を見てもらうために、ビールの裾野を広げていくとアピールした。

［小売価格］
キリン一番搾り やわらか仕立て（期間限定）：オープン価格
キリン一番搾り とれたてホップ生ビール（期間限定）：オープン価格
SPRING VALLEY JAPAN ALE＜香＞：350ml缶：242円、500ml缶：321円
※10月1日酒税改正以降
（すべて税別）
［発売日］
キリン一番搾り やわらか仕立て（期間限定）：10月10日（火）
キリン一番搾り とれたてホップ生ビール（期間限定）：11月7日（火）
SPRING VALLEY JAPAN ALE＜香＞：10月24日（火）

キリンビール＝https://www.kirin.co.jp/