- Drink&Food2024/01/04 15:05
富士経済、「2030年 外食市場将来予測と業態ビジネス変化」の調査、2030年は料飲店市場が3兆4189億円と予測
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸)は、新型コロナウイルス感染症の位置づけは第5類に移行したものの、コロナ禍を通して消費者の消費行動や外食との向き合い方が変わっており、それに伴い市場構造が変化しつつある外食市場の長期予測を行った。その結果を「2030年 外食市場将来予測と業態ビジネス変化」にまとめた。トピックスとして2030年予測では、料飲店市場が3兆4189億円、ファストフード市場が4兆3436億円との見通しだ。居酒屋などの料飲店は2021年を底に回復に向かうが、コロナ前の規模には届かないと思われる。一方、ファストフードは2021年にはコロナ前の規模まで回復し、拡大を続けるとみられる。
この調査では、ファストフード、ファミリーレストラン、料飲店、喫茶、宿泊宴会場の5カテゴリーの外食市場をコロナ前の2019年から2030年までを予測し、新型コロナや価格改定などによる変化、変化に伴う課題など、今後の外食市場を展望した。
料飲店の国内市場では、コロナ禍の影響が最も大きかったカテゴリーであり、2021年の市場はコロナ前の3割程度まで落ち込んだ。2023年の市場は、新型コロナの5類移行により、飲み会の一次会需要はコロナ前と遜色ない規模まで回復するとみられる。しかし、大人数の宴会需要の低迷により大型店舗が苦戦しているほか、二次会以降の需要回復が鈍いため21時頃から深夜の集客に苦戦している。また、少人数グループによるカジュアルな飲み会ニーズが高まる中、短時間で気軽に利用できるファストフードやファミリーレストランで”ちょい飲み”利用が進み、アルコール需要の流出がみられる。
飲酒スタイルの変化などから、2030年も市場はコロナ前の規模を大幅に下回るが、飲酒を目的とした従来型の店舗の淘汰が進む一方、食事を主としたやきとりや串カツ・串揚げなど専門店型居酒屋などは回復が進むとみられる。
ファストフードの国内市場では、コロナ禍でもテイクアウトやデリバリーの伸びがイートインの減少をカバーしたことから、2020年の市場は、ほかのカテゴリーと比較して落ち込みは小幅となり、2021年にコロナ前の規模まで市場が回復した。2022年以降は、テイクアウトやデリバリーの定着に加え、イートインの急速な回復もあり、市場拡大が続いている。 外食産業だけにとどまらず、様々な商品やサービスの価格改定によって、消費者の生活防衛意識の高まる中、ファストフードはコストパフォーマンスの高さが評価され、ラーメンや牛丼などはディナータイムの“ちょい飲み”需要を料飲店から獲得するなど利用シーンが広がっている。モーニングやランチメニューの強化といったタイムマーケティングの実施、コロナ禍を経て定着したテイクアウトをはじめとした店舗外での食シーンの創出など、喫食場所・時間帯の多様化という消費者の行動変容に対応することで、2030年まで市場拡大が予想される。
牛丼は、イートイン・テイクアウトといった提供形態、繁華街やロードサイドといった立地を問わず需要を獲得しており、2021年には早くもコロナ前の規模を上回った。コロナ禍の需要を特に支えたロードサイド店に加え、2023年には都市型店舗の需要も回復するとみられる。今後もロードサイド店やテイクアウト専門店を中心に出店が続き、外食だけでなく中食需要を取り込むことで、市場拡大が予想される。なお、日常食として定着しており、価格許容度は高いものの、更なる価格改定は他の業態や中食への需要流出につながる可能性がある。
ラーメンは、コロナ禍以降増えているライトな飲み会ニーズ、ロードサイド店でのファミリー層の需要獲得など、客層や利用シーンが広がっていることから、2023年にはコロナ前の規模まで市場は回復するとみられる。店舗ごとの差別化が進んでおり、人流回復により繁華街立地の店舗なども市場環境が改善していることから、今後も市場拡大が続くとみられる。しかし、コロナ前にみられた飲み会後のシメとしての需要は低迷しており、深夜帯の需要は停滞が続くと予想される。
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2023年10月~12月
[小売価格]
PDF版:33万円
ネットワークパッケージ版:49万5000円
(すべて税込)