- Drink&Food2024/01/12 18:43
富士経済、清涼飲料類・アルコール飲料・嗜好品の国内市場の調査、2024年の国産ビール市場は1兆575億円と予測
総合マーケティングビジネスの富士経済は、加工食品(27カテゴリー385品目)のうち、価格改定の影響によってコスパの良い国産ミネラルウォーター類が好調な清涼飲料類、酒税法改正によって国産ビールの回復が著しいアルコール飲料、清涼飲料類からの需要流入が期待される一方で価格改定による買い控えがみられる嗜好品の計3カテゴリー97品目の市場を調査した。その結果を「2024年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめた。トピックスとして、2024年市場予測(2022年比)では、酒税法改正によってメーカー各社が注力、新商品の投入などが進む国産ビールは1兆575億円(16.4%増)を見込む。香りの良さからリラックス需要を獲得。新たなユーザーの開拓に成功し市場活性化するルイボスティーは44億円(76.0%増)の見通しだ。価格改定に伴い、コスパの良さから茶系飲料などから需要流入。インバウンド需要も追い風の国産ミネラルウォーター類は4195億円(15.4%増)と予測する。
ビール類(アルコール飲料)は、国産ビール、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料(国産新ジャンル)、その他ビール類(国産発泡酒、輸入ビール類、クラフトビール)を対象とした。
2020年、2021年とコロナ禍により業務用が低迷していたが、2022年は外食需要が回復に向かい、国産ビールがけん引する形で市場が拡大した。
2023年の市場は引き続き拡大が予想される。10月に施行された酒税法改正により、国産ビールと国産新ジャンルの価格差が縮まっており、メーカー各社が国産ビールに注力し、新商品の投入などを積極的に進めていることから、国産ビールは1兆円まで回復が見込まれる。一方、国産新ジャンルはこれまで評価されていた価格優位性が弱まり、国産ビールやRTDへ需要がシフトしている。
今後は、2026年10月の酒税一本化に向け、メーカー各社は引き続き国産ビールに注力するため、市場は引き続き国産ビールがけん引するとみられる。一方で、国産新ジャンルは縮小が続き、ブランドの集約化なども進むと予想される。
ジャスミンティー、ルイボスティー(清涼飲料類)は、2022年は人流回復によるオフィスでの需要増加、メインチャネルの一つであるコンビニエンスストアでのPB商品の発売などによって、ジャスミンティー、ルイボスティー、どちらの市場も拡大した。2023年は香りの良さからリラックス需要を獲得しており、市場が拡大するとみられる。特に、ルイボスティーはサントリー食品インターナショナルの新商品がこれまでみられなかった男性需要を獲得、新たなユーザーの開拓によって市場が活性化し、大幅な拡大が予想される。
国産ミネラルウォーター類(清涼飲料類)は、2022年、2023年ともに、猛暑によって市場が拡大している。清涼飲料全体の価格改定に伴い、コスパの良さから茶系飲料など他の清涼飲料からの需要が流入しているほか、ミネラルウォーターを日常的に飲用する外国人観光客などインバウンド需要の取り込みも大きく、2023年の市場は二桁近い伸びが見込まれる。夏場には供給不足となるケースもみられており、参入メーカーは設備強化を進めていることから、供s給量が安定することで、今後も市場拡大を続けると予想される。
清涼飲料類は、猛暑や人流回復から炭酸飲料や麦茶などが好調である。価格改定もあり2023年の市場は拡大が予想されるが、より低価格なPB商品やミネラルウォーターなどへのシフトもみられる。消費者のニーズが低価格帯商品へシフトしている中で、参入企業は高付加価値商品への注力度を高めており、無糖茶飲料や炭酸飲料では味の濃さや香りなど味覚面での差別化を進めている。また、ストレス軽減や睡眠の質向上を中心とした機能性表示食品の展開も積極的に行われており、健康需要獲得の取り組みも強化されている。
アルコール飲料は、コロナ禍の家飲み需要に落ち着きがみられているが、2022年以降、外食需要が戻ってきたことで業務用の回復が進み、特に規模の大きい国産ビールが大きく復調している。2023年は、引き続き業務用が回復していることから市場拡大が続くとみられる。2023年10月に酒税法改正が行われたことから国産ビールやRTDが好調であるほか、国産ウイスキーの人気の高まり、ノンアルコール商品や機能型ビールなどによる健康需要獲得などによって、今後も市場回復が続くとみられる。
嗜好品は、外出機会の増加によって業務用、加工用の回復が進む一方、家庭内での飲用機会が減少している。節約志向の強まりから清涼飲料からの需要流入が期待されるものの、嗜好品自体も価格改定による買い控えがみられる。
今後は値上げの影響も一巡し、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーでは新規ユーザーの獲得が予想される。また、コーヒーではカフェのブランド名を冠した商品、茶系ではルイボスティー、ジャスミンティーなどリラックスニーズを捉えた商品など、付加価値商品が市場を底支えするとみられる。
[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]9月~11月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF+データ版セット:20万9000円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)